ChatGPT APIは、OpenAIが提供する高度な自然言語処理モデル「ChatGPT」を外部アプリケーションから利用可能にするインターフェースです。
この記事では、ChatGPT APIがそれぞれの業界でどのように活用されているのか、具体的に紹介します。
ChatGPT API 活用例1:金融業界
金融業界では、ChatGPT APIを活用して顧客サービスの向上や業務効率化が図られています。
三井住友銀行
三井住友銀行では独自のAIアシスタント「SMBC-GPT」を開発し、社内業務の効率化を図っています。このツールは、Microsoft Azure上の専用環境で構築され、文章の作成、要約、翻訳、ソースコードの生成など、従業員の生産性向上に寄与しています。
さらに、SMBCグループは2023年7月に「SMBC-GAI」をリリースし、Microsoft Teamsに組み込むことで、従業員が日常的に利用できるAIアシスタントを実現しました。
このツールは、専門用語の検索やメールの下書き作成、文章の要約や翻訳、プログラミング言語のソースコード生成など、多岐にわたる業務で活用されています。
参考:SMBC「SMBCグループが独自に生み出したAIアシスタント「SMBC-GAI」開発秘話」
みずほ銀行
みずほフィナンシャルグループ(FG)は、生成AIを活用して業務効率化と新たなイノベーションの実現を目指しています。2023年6月に社内向けテキスト生成AI「Wiz Chat」を導入し、社員間での活用方法の共有やアイデアソンの開催を通じて、生成AIの活用を推進しています。
現在、業務効率化の重点分野として「事務手続照会」と「与信稟議作成」に注力しており、「事務手続照会」では、生成AIと社内情報を連携したチャットボットを構築し、照会時間の短縮と柔軟な顧客対応を目指しています。
「与信稟議作成」では、ワンクリックで稟議資料のドラフトを自動生成する仕組みを開発中で、これにより作成時間の大幅な短縮と品質の向上が期待されています。
参考:みずほファイナンシャルグループ「生成AIを活用して、業務効率化と新たなイノベーションの実現へ」
ChatGPT API 活用例2:小売・Eコマース業界
小売・Eコマース業界では、ChatGPT APIを活用して顧客体験の向上や業務効率化が進められています。
Shopify
ShopifyはECプラットフォームにChatGPTを統合し、顧客の好みに合わせた商品レコメンドや商品説明の自動生成を実現しています。
たとえば、Shopifyの「Shopify Magic」は、AIを活用して商品説明の自動生成やFAQの作成を支援し、業務効率の向上に寄与しています。
また、公式ブログ記事「ChatGPTとは何か、その仕組みと活用方法」では、ChatGPTの概要やその仕組み、ビジネスへの応用方法について詳しく解説しています。
参考:Shopify「10 Best AI Tools for Ecommerce Businesses」
セブンイレブン
セブンイレブンでは、商品企画のプロセスにおいてChatGPTを大々的に活用しています。たとえば、店舗の販売データやSNS上での消費者の反応分析、新商品をPRする際のコピーや画像の制作などです。
これらのプロセスにChatGPTを使うことで、従来の企画時間を最大90%削減することに成功しています。
参考:Techfirm Blog「生成AI導入成功企業事例まとめ10選【業務時間短縮編】」
ChatGPT API 活用例3:教育業界
教育業界でも、ChatGPT APIの活用が進んでいます。
立命館大学
立命館大学は、英語教育においてChatGPTと機械翻訳を組み合わせた英語学習ツール「Transable」を導入しています。
このツールは、学生が日本語で入力した文章を適切な英語に翻訳し、その理由も解説します。この取り組みは、生命科学部・薬学部で展開する「プロジェクト発信型英語プログラム(PEP)」の一環として、2023年春学期より試験導入されました。
参考:立命館大学「大学の英語授業に機械翻訳とChatGPTを組み合わせたサービスを試験導入」
ベネッセホールディングス
ベネッセホールディングスは、ChatGPTを活用した教育サービスとして「自由研究おたすけAI」や「チャレンジ AI学習コーチ」を2023年7月より提供しています。
「自由研究おたすけAI」は、小学生向けに開発された生成AIサービスで、夏休みの自由研究のテーマ決めをサポートします。
一方、「チャレンジ AI学習コーチ」は、中学生を対象に、5教科や勉強法に関する質問を24時間チャットで受け付け、AIが過去の質問データを基に分析して回答するサービスです。
これらのサービスは、ベネッセが提供する「進研ゼミ」などの教育プログラムの一環として展開されています。
参考:ベネッセホールディングス「ベネッセ、小学生親子向け生成AI サービスを7/25 から無償提供」
ChatGPT API 活用例4: IT・通信業界
IT・通信業界では、ChatGPT APIを活用して業務効率化や顧客サービスの向上が図られています。
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、2023年4月に「ChatGPTオペレーション変革室」を設立し、広告運用の効率化を推進しています。
具体的な取り組みとして、社内コミュニケーションの補助や自動回答の活用を通じて、月間約23万時間の広告オペレーション作業時間のうち、約30%にあたる約7万時間の削減を目指しています。
参考:サイバーエージェント「ChatGPTで広告運用の実行スピードを大幅短縮する「ChatGPTオペレーション変革室」を設立 」
GMOインターネットグループ
GMOインターネットグループは、生成AI技術を積極的に業務に活用し、業務時間の大幅な削減を実現しています。具体的には、2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減し、2024年9月時点では年間推定107万時間の削減を達成しました。
また、生成AIを活用することで、メール文面の作成やコンテンツマーケティング用の記事作成などの業務効率化も図っており、その結果、従業員一人あたりの業務削減時間は月平均27.2時間に達しています。
参考:GMOインターネットグループ「GMOインターネットグループ、生成AI活用により2024年上半期で約67万時間の業務時間を削減」
ChatGPT API 活用例5:官公庁・行政
官公庁や行政機関でも、ChatGPT APIの活用が進んでいます。
神奈川県横須賀市
2023年4月20日から、横須賀市はChatGPTの全庁的な活用実証を開始しました。
この取り組みの結果、約半数の職員が実際にChatGPTを活用し、最終アンケートでは約8割の職員が「仕事の効率が上がる」「利用を継続したい」と回答しています。
さらに、2023年8月16日には、ChatGPTを活用した「他自治体向け問い合わせ応対ボット」の運用を開始し、他の自治体への情報共有の円滑化や職員の業務軽減を図っています。
参考:横須賀市「自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始」
栃木県庁
栃木県庁は、職員向けに生成AI「ChatGPT」を活用する環境を整備し、会議の挨拶文の作成やExcelの数式作成などに利用しています。
具体的な活用事例として、資料や挨拶文の原案作成、企画のアイデア出し、Excelの数式やマクロの作成、施策検討のためのペルソナ設定、情報検索、文章の要約・校正などが挙げられます。
ChatGPT APIの具体的な活用例:まとめ
この記事ではChatGPT APIの具体的な活用例を、いくつかの業種毎に紹介しました。この記事で紹介したように、自社の業務やサービスにChatGPT APIを導入することで、さらなる発展が期待できます。まだ導入されていない企業の方は、是非前向きにご検討ください。