GPT-5からGPT-5.1へ:モデルチェンジによって変わったAIの性格

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GPT-5.1は、GPT-5から性能面で大幅なアップデートを遂げています。しかし、多くのユーザーが強く実感しているのは「性能の進化」よりも、むしろ「AIの性格が変わった」という点ではないでしょうか。

本記事では、GPT-5からGPT-5.1へのモデルチェンジによって、AIの性格、回答の姿勢、振る舞い、語り口がどのように変化したのかを、分かりやすく解説します。


最近「社外に出せないデータで生成AIを使いたい」という相談をいただきます。ChatGPTの利用は社内で禁止されているそうです。セキュリティやコスト面が気になる企業には、社内のローカル環境で動かせる仕組みがあることはご存知ですか?
OpenAIのオープンなAIモデル「gpt-oss」も利用いただけます。

GPT-5からGPT-5.1:どうしてAIの性格が変わったのか?

GPT-5.1で「AIの性格が変わった」と感じる最も大きな理由は、モデル内部の判断の仕組みが根本的に改善されたためです。GPT-5までは、軽量モデル(Instant)と深い推論を行うThinkingモデルを切り替えるルーターが十分に成熟しておらず、タスクによって回答のトーンや深さにばらつきが生じることがありました。

GPT-5.1ではこのルーティング精度が大幅に向上し、「どの場面で深く考え、どの場面で簡潔に答えるべきか」をより適切に判断できるようになりました。これにより、過剰な勢いや深読みが減り、落ち着いた一貫性ある振る舞いが実現しています。

さらに、GPT-5.1では回答生成の方針そのものが見直され、事実性の強化、不確実性の適切な扱い、文脈維持の精度向上といった改良が加わりました。結果として、必要以上に自信を持った断定を避け、わからないことはわからないと答える“誠実な態度”が身についたといえます。言い換えれば、GPT-5.1は性能だけでなく、判断の成熟度=性格の成熟度が向上したモデルなのです。

GPT-5からGPT-5.1でどのように性格が変わったのか?

GPT-5からGPT-5.1へのアップデートによってAIの「キャラクター性」そのものが大きく変化しています。ここでは、ユーザーが強く体感する5つのポイントを紹介します。

1. 回答が落ち着き、丁寧さが増した

GPT-5は軽快でテンポの良い返答が特徴でしたが、時に勢いが先行し、必要以上に情報を詰め込んだり、答えを急ぎすぎたりする場面が見られました。

GPT-5.1では回答のテンポが改善され、丁寧・冷静・必要十分な情報量に調整されています。とくに長文タスクでは、論理が破綻しにくくなり、落ち着いた印象が際立ちます。

2. 過剰な深読みが減り、指示に素直になった

GPT-5は「相手の意図を深く理解しよう」とする姿勢が強すぎて、ユーザーが言っていない部分まで推測し、回答が脱線することがありました。

GPT-5.1ではこの傾向が大幅に改善され、指示された内容をそのまま受け止める素直さが身につきました。文章の読み違いや、意図の取り違えが目に見えて減っています。

3. 文章表現が落ち着き、論理性が明確になった

GPT-5は表現が少し派手で、言い回しがオーバーになる場面が散見されました。一方、GPT-5.1では以下のように文章がより構造化されています。

  • 無駄が少ない
  • 流れが自然
  • 必要な情報がしっかり整理されている

結果として、ビジネス文書の品質がワンランク上がったという印象を受けるユーザーが多いようです。

4. 「知らないことを知らない」と言えるようになった

GPT-5では、高い生成能力がある一方で、推測を事実のように回答するケースが時折問題になりました。GPT-5.1では不確実性の扱いが改善されています。その結果、以下のような受け答えをするようになりました。

  • わからないことは正直に述べる
  • 推測は推測として説明
  • 根拠の薄い情報を控える

誠実で人間的な態度が身についたのです。この正直さは、企業利用において非常に重要な進化です。

5. 深い推論タスクでの落ち着きと安定感が増した

GPT-5はThinkingモードが強力でありながら、時に推論の深さにムラがありました。

GPT-5.1ではThinkingモードの実行判断が改善されています。

  • 深い推論が必要な場面を見極める
  • 思考の過程が安定している
  • 論理の飛躍や破綻が減る

このような進化により、本格的な「考えるAI」としての信頼性が高まりました。

GPT-5とGPT-5.1の性格比較表

性格要素GPT-5GPT-5.1
慎重さ△(勢い重視)◎(丁寧・慎重)
論理性○(場面によりムラ)◎(一貫性が高い)
誠実さ△(推測が混ざりやすい)◎(不確実性を明確化)
文章の落ち着き△(やや派手)◎(冷静で読みやすい)
意図理解○(深読みしがち)◎(素直に解釈)
推論の安定性◎(Thinkingの精度が高い)
全体印象若くて勢いのあるAI大人で落ち着いたAI

GPT-5が恋しいあなたへ

「あの頃のGPT-5の勢いや軽快さが懐かしい」と感じている人も少なくありません。GPT-5は、ときに大胆で、少しおしゃべりで、こちらの意図を先回りして提案してくれるクリエイティブな相棒でした。予想外のアイデアを返してくれたり、勢いよく文章を展開したりする姿に魅力を感じていたユーザーも多かったはずです。もしもGPT-5が恋しくなったら、以下の方法で切り替えることができます。

GPT-5への切り替え方

まず大前提として、GPT-5は無料版では利用できず、Plus/Pro/Team/Enterprise いずれかの契約が必要です(2025年11月現在)。利用可能なプランでログインしている前提で、以下の手順で切り替えできます。

■ 1. 右上のモデル選択メニューを開く

ChatGPT画面の上部(スマホなら上のバー)に「モデル名(GPT-5.1/5.1 thinking/4oなど)」と表示されている部分があります。ここをタップ/クリックすると、利用可能なモデル一覧が表示されます。

■ 2. 利用可能なモデルの一覧から「GPT-5」を探す

この中に 「GPT-5」または「GPT-5(Instant)」 が表示されていれば利用可能です。

※Plus/Proでログインしていれば通常は表示されます。

■ 3. 「GPT-5」をクリックして選択する

選択すると、そのチャットスレッド(会話)が GPT-5ベースのモデルに切り替わります。上部のモデル名がGPT-5に変われば成功です。

結論:GPT-5.1は「仕事の相談ができる大人のAI」になった

GPT-5.1は、性能アップの裏に回答態度・文章スタイル・推論の姿勢といったAIの性格の成熟が見られます。言い換えるならGPT-5はアイデア豊富で勢いのある若手であり、GPT-5.1は落ち着きと実務経験を備えた上級アシスタントといったところでしょうか。GPT-5.1になったことで企業での使用感が良くなった理由はここにあります。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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