ROIが見える!部門別生成AIユースケース10選と導入フロー早わかり

AI活用ブログ
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生成AIの技術的な進化はめざましく、業務効率化・コスト削減・ナレッジ活用といった恩恵をもたらすと言われています。しかし、「結局どこに生成AIを使えばROIが出るのか分からない」という企業も少なくありません。

本記事では、企業の主要部門における実践的なユースケースを10個厳選し、部門ごとの導入ポイントと成果の測り方をわかりやすく解説します。あわせて、ROIを見える化するための導入ステップも紹介します。


最近「社外に出せないデータで生成AIを使いたい」という相談をいただきます。ChatGPTの利用は社内で禁止されているそうです。セキュリティやコスト面が気になる企業には、社内のローカル環境で動かせる仕組みがあることはご存知ですか?
OpenAIのオープンなAIモデル「gpt-oss」も利用いただけます。

部門別ユースケース10選と導入ポイント

以下は、実際に企業で活用が進む生成AIの代表的なユースケースです。部門ごとに「導入効果」「使用ツールの例」「導入のポイント」を整理しました。

【人事部門】採用書類の自動スクリーニング

  • 効果:応募者データの分類と評価ポイント抽出を自動化
  • ツール例:ChatGPT API+RAG構成/HR系SaaSとの連携
  • ポイント:機密情報を扱うため、ローカルLLMや社内完結型の運用が有効

【総務部門】社内問い合わせのAIチャットボット化

  • 効果:備品申請や休暇制度などの定型問い合わせに即応
  • ツール例:Flowise/Langflow/GPTs
  • ポイント:社内ポータルやFAQ文書との連携で精度が大きく向上

【営業部門】顧客提案書の自動生成&ブラッシュアップ

  • 効果:営業資料の初稿作成を自動化し、属人性を削減
  • ツール例:Notion AI/ChatGPT+カスタムプロンプト
  • ポイント:過去の提案書データをRAGで読み込ませると効果大

【マーケティング部門】SNS投稿やメール文の生成

  • 効果:コピーライティングの量産/A/Bテストも高速化
  • ツール例:Genspark AI/Jasper/Copilot for Microsoft 365
  • ポイント:「口調」「ブランドトーン」の調整が重要

【広報部門】プレスリリースやFAQの初稿作成

  • 効果:アウトライン提案や校正、文体統一を自動化
  • ツール例:Claude/GPT-4o/Texta.ai
  • ポイント:公開前に必ず人間の最終チェックを通す体制づくりが必須

【法務部門】契約書レビューと要点抜粋

  • 効果:契約書のリスク箇所を迅速に可視化
  • ツール例:Loio/ChatGPT+法務向けプロンプト
  • ポイント:生成結果を信頼しすぎず、「補助的に使う」前提が重要

【経理部門】帳票データの読み取り・仕分け補助

  • 効果:請求書・領収書などの分類と入力の自動化
  • ツール例:OCR+ChatGPT/AIシートツール
  • ポイント:スキャン精度やテンプレートのばらつきに注意

【商品企画部門】ユーザーの声からニーズを抽出

  • 効果:口コミ・アンケートから特徴語・不満点を分析
  • ツール例:LLM+自然言語処理(NLP)ライブラリ
  • ポイント:定量分析ツールとの組み合わせが効果的

【カスタマーサポート】問い合わせ対応の応答補助

  • 効果:サポート担当の文章生成やテンプレ選択を支援
  • ツール例:Intercom AI/ChatGPT API連携
  • ポイント:回答候補の提示形式にすることでヒューマンエラーを回避

【情報システム部門】社内FAQ検索/ナレッジ共有Bot

  • 効果:社内のIT問い合わせ対応負荷を軽減
  • ツール例:RAG構成+LangChain/Langflow
  • ポイント:社内ドキュメントのタグ整備と継続運用が鍵

ROIを見える化する導入フロー

ROI(投資対効果)を明確にするには、PoCやスモール導入段階で「評価指標」と「効果測定フレーム」を設定しておくことが重要です。

ステップ1:目的と評価軸の設定

  • 「何を改善したいか」を部門ごとに明確に定義
    例:工数削減/品質向上/顧客満足度アップなど
  • KPI例
    • 作業時間短縮率(◯%)
    • 応答精度(◯点以上)
    • 利用頻度/満足度(アンケート)

ステップ2:PoC実施と効果測定

  • スモールPoCを活用して2週間で結果を出す
  • 前後比較データ(Before/After)で変化を可視化
  • 現場担当者の声も必ずレポートに含める

ステップ3:レポートで経営層へ可視化

  • 評価結果を1枚のサマリーにまとめる(数値+コメント)
  • 導入にかかるコスト・人員・想定ROIを明記
  • 全社展開時のスケジュールや課題も添えて提案

よくある失敗とその回避策

失敗例原因解決策
とにかく全部門に使おうとするスコープ過大最も課題が明確な部門から始める
KPIが曖昧成果が見えにくい導入前にKPIを数値で合意する
現場が定着しない業務フローとズレがある早期に現場を巻き込む体制を作る

まとめ:現場を起点に、ROIを可視化しながら段階導入を

生成AIは技術だけでなく、“現場がどう使うか”によってROIが大きく変動するテクノロジーです。成功の鍵は、部門ごとに「小さく始めて成果を見せる」こと。スモールPoCとKPI設定を組み合わせれば、経営層からの理解・予算確保もスムーズになります。

まずは自社の1部門から。“成果の出やすい場所”に焦点を当て、生成AIの実力を社内に証明していきましょう。

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会社ではChatGPTは使えない?情報漏洩が心配?

ある日本企業に対する調査では、72%が業務でのChatGPT利用を禁止していると報告されています。社内の機密情報がChatGPTのモデルに学習されて、情報漏洩の可能性を懸念しているためです。

そのため、インターネットに接続されていないオンプレミス環境で自社独自の生成AIを導入する動きが注目されています。ランニングコストを抑えながら、医療、金融、製造業など機密データを扱う企業の課題を解決し、自社独自の生成AIを導入可能です。サービスの詳細は以下をご覧ください。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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