ChatGPTが漏らすかもしれない企業秘密、今こそ知るべき対策と規制

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生成AIで加速する業務効率化と高まる情報漏洩リスク

ChatGPTなどの生成AIが業務効率化に大きく貢献する一方で、機密情報や個人データがうっかり漏洩してしまうリスクがあることをご存じでしょうか? 

実は、SamsungやAmazonといった大企業でも思わぬ事故が報告されています。本記事を読むことで、生成AIの利用がもたらすセキュリティリスクと各国の規制状況を理解し、具体的な社内ルール作りや技術的対策のヒントを得られます。イノベーションと安全の両立に課題を感じている方に、ぜひ最後までお読みいただきたい内容です。


生成AI利用による機密情報漏洩リスクとは

生成AIは大量のテキストデータを学習し、自然な文章を生成する技術です。しかし、その利便性の裏側で「うっかりコピー&ペーストした業務上の機密情報が外部に流出してしまう」というリスクが高まっています。

実際にSamsung(サムスン)のエンジニアがバグ修正のためにソースコードを生成AIに入力し、機密データが外部に渡ってしまった事例は業界に衝撃を与えました。さらに、Amazon社の法務部も「ChatGPTの回答に自社の機密情報が酷似していた」として社員に注意喚起を行うなど、実例が後を絶ちません。


①ユーザが入力した内容が学習される可能性

ChatGPTのような公開サービスでは、利用者が入力したテキストがサービス提供者側で保存・学習に使われる場合があります。これにより、たとえ社内データであっても生成AIの知識ベースに取り込まれ、他のユーザへの回答に混ざって出てくる可能性が否定できません。例えば医師が患者の名前と病状を入力すると、将来第三者が「○○さんの病状は?」と質問した際に、学習データとして記憶された情報を回答してしまうリスクも考えられます。

②サービス側の不具合・攻撃リスク

大規模言語モデル自体の不具合やバグによる情報漏洩も起こり得ます。実際、2023年3月にはChatGPTで他ユーザの会話履歴タイトルが誤表示されるバグが発生し、有料ユーザの名前やメールアドレス、住所などが部分的に漏洩しました。また、モデルへの“攻撃”によって学習データから個人情報を抽出する研究事例(training data extraction attack)もあり、専門家はこのリスクを深刻に捉えています。


個人データ・プライバシー保護が不可欠

企業が生成AIを活用する際は、顧客や従業員の個人情報を誤って入力してしまうケースにも注意が必要です。医療データや顧客リストなどを安易にアップロードすれば、個人情報保護法やGDPR、CCPAといった各国のプライバシー規制に抵触する可能性もあります。さらに、生成AIが誤った個人情報を「それらしい内容」で出力することで、プライバシー侵害や風評被害を生み出すリスクも指摘されています。

各国の規制やガイドラインの最新動向

欧州連合(GDPR)

EUのGDPRでは個人データの取り扱いが厳格に規定されており、イタリア当局はChatGPTに対して一時利用禁止措置を行った例があります。OpenAIはプライバシーポリシーの改善やユーザによるオプトアウト手段の提供を行い、サービス再開にこぎつけましたが、その後も各国の監督当局が調査を進めています。

米国(CCPA/CPRAなど)

連邦レベルの包括的データ保護法はまだありませんが、カリフォルニア州のCCPAなど州法レベルでの規制が拡大中です。AB 2877のように、AIの訓練や微調整に個人情報を使うには事前の明示的な許可を求める法案も検討されており、企業には今後ますます厳格な対応が迫られるでしょう。

日本やその他の地域

日本でも個人情報保護法があり、経済産業省が「生成AIに関する企業向けガイドライン」を公表するなど、各国同様に規制が強化される傾向です。中国でも「生成式AIサービス管理暫定弁法」が施行され、安全管理とデータ保護に関する義務が課されています。


企業が取るべきセキュリティ対策と運用

  1. 社内ポリシーの整備
    生成AIの業務利用を想定し、「どの用途・部署で使ってよいか」「機密データを入力してはいけないか」といったルールを明文化します。違反時の懲戒や責任範囲も明確にし、社員に周知しましょう。
  2. 入力禁止データの定義
    個人を特定可能な情報(氏名や住所など)や機密ソースコード、顧客リストなどを「絶対にアップロードしてはいけないデータ」としてリスト化し、共有します。
  3. 従業員教育と啓発
    生成AIのリスクは、誤って情報を入力する“ヒューマンエラー”から発生しやすいものです。定期的な研修や周知徹底で、社員のセキュリティ意識を高めましょう。
  4. 技術的対策の導入
    DLP(データ損失防止)システムやアクセス制御を強化し、機密ファイルが外部に持ち出されないようにします。近年はChatGPTへの送信内容を監視し、機密情報を検知するツールも登場しています。
  5. ゼロトラスト原則の適用
    社内ネットワークだからといって信用しすぎない考え方で、あらゆるアクセスを検証します。必要最低限の権限付与に留め、不審な通信をブロックしやすい体制を築きましょう。
  6. 信頼できるAIサービスの利用・独自導入
    ChatGPTのエンタープライズプランやAzure OpenAIなど、企業向けにデータを学習に使用しない設定が可能なサービスを利用するのも有効です。機密情報の管理や安全性を最優先するなら、自社内でオンプレミスの大規模言語モデルを構築する選択肢も検討しましょう。

まとめ

生成AIはビジネスに革新をもたらす一方、機密情報や個人データの漏洩リスクをはらんでいます。SamsungやAmazonで実際に報告されたように、従業員のうっかりミスやモデルの学習プロセス、サービスのバグ、さらには攻撃手法を狙った情報抽出など、多角的に対策を講じなければなりません。

各国のデータ保護規制も厳しさを増す中、企業は適切なルール整備と技術的防御を両輪で進める必要があります。今後も生成AIは進化を続けますが、利便性とセキュリティ・プライバシーを両立させるための取り組みこそが、持続的なビジネス成長を支える鍵と言えるでしょう。

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会社ではChatGPTは使えない?情報漏洩が心配?

ある日本企業に対する調査では、72%が業務でのChatGPT利用を禁止していると報告されています。社内の機密情報がChatGPTのモデルに学習されて、情報漏洩の可能性を懸念しているためです。

そのため、インターネットに接続されていないオンプレミス環境で自社独自の生成AIを導入する動きが注目されています。ランニングコストを抑えながら、医療、金融、製造業など機密データを扱う企業の課題を解決し、自社独自の生成AIを導入可能です。サービスの詳細は以下をご覧ください。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。

「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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