OpenAIから発表された最新のAIモデル「ChatGPT o3」「o3-mini」「o4-mini」「o4-mini-high」の特集です。これらのモデルは、推論能力、マルチモーダル処理、ツール統合、安全性において大きな進化を遂げています。それぞれのモデルの特徴と最新情報をまとめたので、是非ご覧ください。
※この記事の内容は2025年4月段階のものです

この記事の内容は上記のGPTマスター放送室でわかりやすく音声で解説しています。
ChatGPT o3:最先端の推論能力を備えたフラッグシップモデル

「o3」は、OpenAIがこれまでに開発した中で最も高度な推論モデルです。数学、プログラミング、科学、ビジュアル分析などの分野で卓越した性能を発揮します。とくに、CodeforcesやSWE-bench、MMMUなどのベンチマークで新たな記録を樹立しています。
主な特徴
- マルチモーダル推論:画像や図表を直接解析し、視覚情報を推論プロセスに統合します。
- ツールの自律的活用:Web検索、Python実行、画像生成、ファイル解析など、ChatGPTの全ツールを自律的に組み合わせて使用します。
- 高精度な推論:複雑な問題に対しても、深い分析と多角的な視点で解答を導き出します。
これらの機能により、o3は研究者や開発者にとって強力なパートナーとなるでしょう。
ベンチマークでは圧倒的な成果
「o3」モデルは、多くの技術的ベンチマークで圧倒的な成果を上げています。

コーディング能力
「o3」は、ソフトウェア開発のベンチマーク「SweetBench Verified」で71.7%の正確性を達成し、前モデル「o1」の約50%を大きく上回りました。
コーディング競技サイト「Codeforces」では、ELOスコアが2727に到達。これは多くのトッププログラマーを凌駕する数字です。
数学的能力
数学オリンピックレベルの試験「Amy」では96.7%の正確性を記録し、PhDレベルの科学問題に対しても87.7%の正答率を達成しました。
新しいベンチマークへの挑戦
とくに注目すべきは「Epic AI’s Frontier Math Benchmark」で、業界の他のモデルが2%以下の正答率にとどまる中、「o3」は25%以上の成果を記録しました。
ChatGPT o3 Mini:高速かつコスト効率の高い推論モデル

「o3-mini」は、2025年1月31日にリリースされた、OpenAIの推論特化型モデルです。中程度の推論負荷において、先代の「o1」と同等の性能を維持しつつ、応答速度とコスト効率を大幅に向上させています。
主な特徴
- 応答速度の向上:A/Bテストにおいて、o1-miniと比較して平均応答時間が24%短縮され、7.7秒を記録しました。
- 推論モードの選択:低・中・高の3段階の推論モードを提供し、タスクの複雑性に応じた柔軟な対応が可能です。
- 安全性の強化:Deliberative Alignment手法を採用し、プロンプトの意図を推論して安全性を高めています。
o3-miniは、とくにSTEM分野のタスクにおいて、高速かつ正確な応答を提供することができます。
ChatGPT o4-mini:コスト効率と高性能を両立した新世代モデル

「o4-mini」は、o3の性能を維持しつつ、速度とコスト効率を最適化したモデルです。とくに、数学、コーディング、視覚タスクにおいて優れたパフォーマンスを発揮します。
主な特徴
- ツール統合:Python、Webブラウジング、画像入力などのツールを活用し、多様なタスクに対応します。
- 高いコストパフォーマンス:o3と比較して約10分の1のコストで利用可能です。
- 広範なコンテキスト処理:最大20万トークンのコンテキストウィンドウをサポートし、長文の理解や生成が可能です。
これにより、スタートアップや中小企業でも高度なAI機能を手軽に導入できます。
ChatGPT o4-mini-high:精度重視のハイエンド構成

「o4-mini-high」は、o4-miniの推論深度を高めた構成で、複雑なタスクや精度が求められるシナリオに最適です。
主な特徴
- 深い推論プロセス:より多くの計算資源を投入し、精度の高い出力を生成します。
- マルチステップタスクへの対応:複雑な手順や長期的な文脈を必要とするタスクに強みを発揮します。
- 応答時間の調整:精度向上のため、応答時間がやや長くなる場合があります。
ただし、一部のユーザーからは、o3-mini-highと比較して性能が劣るとの指摘もあり、今後の改善が期待されます。
安全性と倫理性への取り組み

OpenAIは、o3およびo4-miniシリーズにおいて、以下のような安全対策を強化しています。
- 再構築された安全性トレーニングデータ:バイオリスク、マルウェア生成、脱獄プロンプトなどに対する拒否応答の精度を向上。
- 外部評価の導入:生物・化学、サイバーセキュリティ、AI自己改善の3分野でのリスク評価を実施。
- Deliberative Alignmentの採用:プロンプトの意図を推論し、安全性を高める新手法を導入。
これらの取り組みにより、モデルの安全性と倫理性が大幅に向上しています。
Deliberative Alignmentとは
さらに、「Deliberative Alignment」と呼ばれる新手法を導入。この手法により、モデルがプロンプトの意図を推論し、安全性を高めることが可能となりました。
Deliberative Alignmentでは、モデルの推論能力を活用し、単なる例ベースの判断ではなく、プロンプトの背後にある意図を理解しようとする点が特徴です。以下のようなプロセスを経て安全性を評価します。
- 暗号化プロンプトへの対応:暗号化されたプロンプトや巧妙なトリックを含むリクエストにも対応し、その背後に隠された意図を暴露する能力を持ちます。
- 安全性スペックの利用:モデルに安全性に関する詳細な仕様(スペック)を与え、それを基にプロンプトを評価します。このスペックには、許容される内容とされない内容の基準が含まれます。
- 推論によるプロンプト分析:モデルはプロンプトを解析し、その背後にある意図を推測します。例えば、プロンプトが直接的ではない形で危険なリクエストを含む場合でも、その意図を見抜くことが可能です。
- 自己理由付けの活用:モデルは、プロンプトが安全かどうかを判断する過程で、自ら理由を述べます。これにより、なぜそのプロンプトが安全または危険と判断されたのかが明確になります。
新モデル o3、o3-mini、o4-mini、o4-mini-highはいつから使える?

以下は、OpenAIの最新AIモデル「o3」「o3-mini」「o4-mini」「o4-mini-high」のリリース日と利用可能状況のまとめです。
ChatGPT o3
- リリース日:2025年4月16日
- 利用可能プラン:
- ChatGPT Plus、Pro、Teamユーザー:即日利用可能
- ChatGPT EnterpriseおよびEduユーザー:リリース日から1週間以内にアクセス可能予定
- 無料ユーザー:利用不可
- API提供:Chat Completions APIおよびResponses APIを通じて利用可能
ChatGPT o3-mini
- リリース日:2025年1月31日
- 利用可能プラン:
- ChatGPT Plus、Pro、Teamユーザー:即日利用可能
- ChatGPT Enterpriseユーザー:即日利用可能
- 無料ユーザー:利用可能(「Reason」モードで選択)
- API提供:Chat Completions API、Assistants API、Batch APIを通じて利用可能
ChatGPT o4-mini
- リリース日:2025年4月16日
- 利用可能プラン:
- ChatGPT Plus、Pro、Teamユーザー:即日利用可能
- ChatGPT EnterpriseおよびEduユーザー:リリース日から1週間以内にアクセス可能予定
- 無料ユーザー:利用可能(「Think」モードで選択)
- API提供:Chat Completions APIおよびResponses APIを通じて利用可能
ChatGPT o4-mini-high
- リリース日:2025年4月16日
- 利用可能プラン:
- ChatGPT Plus、Pro、Teamユーザー:即日利用可能
- ChatGPT EnterpriseおよびEduユーザー:リリース日から1週間以内にアクセス可能予定
- 無料ユーザー:利用不可
- API提供:Chat Completions APIおよびResponses APIを通じて利用可能
ChatGPTの新モデル o3, o3-mini,o4-mini,o4-mini-high:まとめ

ChatGPTの新モデル o3, o3-mini,o4-mini,o4-mini-highについて、それぞれ紹介しました。
これらのモデルがもたらす可能性は計り知れません。とくに推論能力を活用する新たな応用分野が期待されるでしょう。AI技術の進化を追いかけつつ、AIの能力と安全性がどのように融合していくのか、未来に目が離せません。