DeepCoder-14Bが描く新時代のコード自動化、商用専用モデルに迫る実力

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オープンソースで加速する革新─DeepCoder-14Bが示す可能性

近年、AIによるコード自動生成や高度な問題解決能力は急速に進化しており、オープンソースの小規模モデルでありながら、有名なプロプライエタリモデルに匹敵するパフォーマンスを示す事例が、すでに登場しています。

本記事では、Together AIとAgenticaが共同開発した「DeepCoder-14B」を取り上げ、その驚くべき実力や学習プロセス、ビジネスへの影響を解説します。


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DeepCoder-14Bがもたらすコード生成革命

近年、多くの企業や開発者コミュニティが求めるのは、「より効率的で高品質なコードを短時間で生成し、開発コストを削減しつつイノベーションを加速する」手段です。

そんなニーズに応える形で登場したのが、Together AIとAgenticaが共同開発したDeepCoder-14Bです。これは、わずか140億(14B)パラメータという比較的小さなモデルでありながら、競合他社の大規模プロプライエタリモデルに肩を並べるほどのコード生成能力を発揮します。

コード自動生成への強化学習でトレーニング

DeepCoder-14Bは、主にコード自動生成に焦点を当てて強化学習(RL)でトレーニングされたモデルですが、興味深いことに数学的推論や複雑な問題解決にも強みを示しています。

とくに、AIME 2024という数学系ベンチマークで73.8%という高いスコアを記録した点は、コード生成を超えた汎用的な推論能力を持ち合わせている証拠といえるでしょう。

小規模かつ強力なモデルの背景

DeepCoder-14Bは、ベースモデルであるDeepSeek-R1を土台に、さらなる最適化や長いコンテキストに対応した強化学習を行うことで完成しました。多くの大規模言語モデルは、数百億から数千億ものパラメータを擁し、その運用には高性能のGPUクラスタや莫大なコストが必要となります。一方、14Bという規模は比較的小さく、導入および運用コストを抑えやすいのが特徴です。

それでも性能を犠牲にしない理由として、開発チームが選んだ強化学習の手法やデータの厳密なフィルタリング、最適化されたトレーニングパイプラインなどが挙げられます。

結果として、DeepCoder-14BはLiveCodeBench(LCB)、Codeforces、HumanEval+といった高度なコーディングベンチマークで、ほかのプロプライエタリモデルに近いスコアを叩き出すまでに至りました。

効率的な学習を支える独自技術

DeepCoder-14Bの学習には、Group Relative Policy Optimization(GRPO)を改良した「GRPO+」という手法が採用されています。

強化学習を用いた大規模モデルのトレーニングでは、学習が進むにつれて一度性能が向上しても、過学習や局所的な崩壊によってパフォーマンスが急落するリスクがあります。GRPO+では、その「崩壊」を起こしにくい仕組みを取り入れることで、長期間にわたって高い性能を維持しながら学習を継続できるように工夫されています。

「段階的なコンテキスト拡張」が導入

さらに、長い推論が必要なタスクにも対応するために「段階的なコンテキスト拡張」が導入されました。はじめは16K(16,000トークン)というコンテキスト長で学習し、徐々に32K、そして場合によっては64Kまで対応できるように調整が行われたのです。

コンテキストが長いほど、複雑な問題についてより多くのステップを踏んだ推論やコード生成が可能になりますが、その分だけ学習も困難になります。

そこで、途中で生成が打ち切られてもモデルに過度なペナルティを与えない仕組みを導入し、推論品質を損なわないように工夫されているのがポイントです。

高品質データセットと精密な報酬設計

強化学習において、モデルに「何が正解で、何が間違いなのか」を正しく伝える報酬設計は極めて重要です。たとえば数学の問題であれば、答えが数値で明確に判定できるため高品質なデータが比較的容易に集まります。しかし、コード生成の場合は単に「動くか動かないか」だけでなく、最適化の程度や可読性、保守性など評価軸が多岐にわたります。

DeepCoder-14Bの開発チームは、24,000もの高品質なプログラミング問題を厳選し、それぞれに単体テストを用意しました。

そして「全てのテストを指定時間内にパスできれば正解」という単純明快なルールを導入することで、モデルが余計な“抜け道”を覚えず、コード生成の本質的な能力を高める方向へ学習を促したのです。コードの一部をハードコーディングしてテストだけ通すといったトリックを回避する仕組みが、この大規模強化学習には不可欠でした。

トレーニング効率を飛躍させる「One-Off Pipelining」

強化学習でとくに大きな課題となるのが、サンプリングステップにおけるGPUのアイドル時間です。コードの自動生成では、一つのプロンプトに対して数千トークンにも及ぶ長い出力を生成するケースが少なくありません。一部のバッチが早く終わっても、ほかが終わるのを待ってから次の学習ステップに進む必要があるため、GPUが遊んでしまう時間が増えてしまいます。

そこで開発チームは、verl-pipelineというライブラリを拡張した「One-Off Pipelining」を導入し、応答生成中のGPUアイドル時間を大幅に削減することに成功しました。

その結果、従来の実装に比べておよそ2倍の高速化を実現し、32枚のH100 GPUを使った2.5週間の学習期間でDeepCoder-14Bを完成させるに至ったのです。これらのノウハウはすでにオープンソース化されており、コミュニティ全体が恩恵を受けられる状況になっています。

企業へのインパクトとオープンソースの可能性

DeepCoder-14Bが公開されていることは、エンタープライズ分野にも大きな利点をもたらします。従来のように高額なAPIを利用する必要がなく、自社環境へ直接導入してカスタマイズを施すことが可能です。しかも、モデルや学習レシピ、データセットまでもが公開されているため、独自のドメイン知識を付与して性能をさらに高めることも難しくありません。

オープンソースモデルの台頭は、イノベーションのスピードを加速させ、かつ競合他社との技術的格差を縮める要因となり得ます。大規模なIT企業だけでなく、中小企業やスタートアップでも手が届く技術基盤が増えれば、新しいサービスや製品が登場するハードルが下がります。閉じられた環境でのみ手に入る先進機能が、開かれたコミュニティでも実現される時代が来ているのです。

DeepCoder-14Bのように、高度な性能と効率を両立させたモデルがオープンソースとして登場するのは、今後ますます増えるでしょう。コード生成に限らず、対話システムや画像処理、ロボティクスなど、多岐にわたる応用領域への波及効果が期待されます。その結果として、企業や開発者はより高度なソリューションを短期間で実装し、市場投入を加速できるようになるはずです。

DeepCoder-14B:まとめ

以上が、DeepCoder-14Bが示す最新のコード生成能力と、それを支える技術的背景、そしてビジネス領域への影響です。わずか14Bのパラメータ規模ながら、驚くほど高い精度と汎用性を両立したこのモデルは、オープンソース活用の新たな地平を切り拓く存在といえるでしょう。

とくに、コスト削減と開発効率アップを切実に求める企業や、AIを核とした新規ビジネスを模索しているスタートアップにとって、DeepCoder-14Bの登場は大きなチャンスとなるはずです。自社のニーズに合わせた最適なモデル選定の一環として、ぜひDeepCoder-14Bを検討してみてはいかがでしょうか。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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