文章生成AI、ChatGPTはテキストやコードの生成、翻訳、要約など、さまざまな用途に利用できます。しかし、ChatGPTで生成したものに関しては、著作権侵害につながるリスクが伴うことを知っておいてください。
ChatGPTをビジネスで利用する際には、著作権侵害リスクとその対策について知っておく必要があるのです。
ビジネスマンが最低限知っておくべき著作権への知識
著作権の対象となるコンテンツ
以下のようなコンテンツが著作権の対象となります。
- 小説、詩、音楽、絵画、写真、映画、テレビ番組、ソフトウェア、ウェブサイトなど
芸術性の高いものだけが著作権の対象となるわけではない点に、注意が必要です。例えば、企業のWebサイトの記事やSNSに投稿した写真なども著作権の対象となりえます。
著作権の持つ「権利」とは?
著作権には、以下の3つの権利があります。
- 複製権:著作物を複製する権利
- 翻訳権:著作物を翻訳する権利
- 翻案権:著作物を翻案する権利
これらの権利は著作者が自由に譲渡したり、許諾したりすることができます。また、著作権は著作物の創作と同時に発生する権利なので、作者が著作権を登録する必要はありません。著作権登録をしていないコンテンツであっても、無断で使用して良いわけではないのです。
著作権侵害について知っておくべきこと
著作権侵害の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 著作物の無断複製
- 著作物の無断改変
- 著作物の無断配布
- 著作物の無断上映
- 著作物の無断公衆送信
とくに気をつけたいのは、複製と改変です。例えば、他人が書いた文章をコピー&ペーストして、自分が書いたものとして公表する行為は、著作権侵害にあたります。
この場合、引用という形で出どころをハッキリさせた上で公表すれば、著作権には触れません。ただし、引用する場合はきちんと元の文章どおりに公表することです。文章を改変した上で公表してしまうと、今度は著作物の無断改変に該当してしまいます。
著作権侵害した場合の罰則
著作権侵害をすると、以下の罰則が科せられる可能性があります。
- 10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
- 著作権侵害による利益の没収
著作権侵害を避けるためには、著作物を利用する際に著作権者の許諾を得ることです。
ChatGPTの著作権侵害リスク
ChatGPTは、膨大な量のテキストデータで学習したモデルです。その性質上、既存のテキストを模倣したテキストを生成する場合があるため、著作権侵害につながるリスクがあります。
具体的には、以下の2つのパターンが考えられます。
- 他人の著作物を無断で使用して生成されたコンテンツ
- 他人の著作物を改変して生成されたコンテンツ
実際に起きた事例
2023年7月、アメリカの作家たちが「著作権で保護された自身の文章が許可なくAIの訓練に使用されている」と損害賠償を請求しました。
また、ChatGPTが著作権のある文章を学習している以上、第三者が「著作権のある文章」を無意識のうちに出力して使ってしまい、著作権を侵害してしまう可能性も考えられます。
ChatGPTの使用で著作権を侵害しないための対策
ChatGPTをビジネス利用する際には、著作権に触れないように意識しなければなりません。そのためには、以下の対策を講じることが重要です。
- 著作権法の知識を身につける:どのような行為が著作権侵害にあたるのか、社内共通の意識として知っておく
- 入力するテキストには注意:著作権で保護されているコンテンツをChatGPTに入力することは控える
- 出力結果を検証する:生成されたコンテンツをそのまま使う場合、著作権侵害にあたらないか確認する
オプトアウト申請
やむをえずに著作権のある文章をChatGPTに入力する際には、オプトアウト申請が有効です。オプトアウト申請を行うと、AIが著作権を持つ入力情報を学習しなくなります。ただし、ChatGPTの出力結果には著作権が絡む可能性があるため、確認を怠らないようにしてください。
オプトアウト申請に関して、詳しくは以下の記事をご覧ください。
ChatGPTが作った文章に著作権はないの?
OpenAIは「ChatGPTが生成した文章への著作権は、ユーザーに譲渡する」と明記しています。そのため、ChatGPTが生成した文章の著作権を心配する必要はありません。
ただし、生成した文章の中に他の作者の著作権が含まれていると、やはり著作権の侵害となってしまいます。商業利用する場合は、必ずチェックが必要です。
まとめ
ChatGPTはさまざまな用途に利用できる便利なツールですが、著作権侵害につながるリスクが伴います。著作権侵害リスクへの理解や、適切な対策を常に心がけることが重要です。