脳でもDBでもない!AI(LLM)の知識を支えるパラメータの仕組み

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AIの“記憶”はどこにある?LLMが学んだデータの実態を探る

近年、LLM(Large Language Model)と呼ばれる会話AIが急速に進化し、「AIが学んだデータはどこに蓄積されるのか?」という疑問を抱く方が増えています。

人間なら脳、従来のシステムならデータベースが一般的。しかし、AIでは“パラメータ”という形で学習した情報を抱え込む、ちょっと意外な仕組みがあるのです。本記事では、AIの知識がどこにどのように保存されているのかを詳しく解説します。


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LLM(Large Language Model)とは何か

LLMとは大規模なテキストデータを学習し、人間の言語を高度に理解・生成できるモデルの総称です。

具体的には、インターネット上の膨大な文章を学習データとして取り込み、単語や文脈の関係性を解析して「次に来るであろう単語や文章」を予測する仕組みによって、自然な会話や文章作成を可能にしています。

従来のAIとの違い

従来のAIシステムでは、データベースに格納した情報をルールベースで処理し、特定のタスクに特化した形で応用されることが多くありました。一方LLMは、より汎用的に学習したパラメータを使って、多種多様な話題や文脈に対応した出力を生成できる点が大きな特徴です。

ニューラルネットワークが知識を蓄える仕組み

人間の脳内のニューロンネットワークを模した構造体である「ニューラルネットワーク」は、無数のノード(人工ニューロン)が層状につながり、入力データを処理します。LLMなどの高度なAIは、このネットワークの「重み」を学習することで知識を蓄えます。

パラメータ(重み)とは何か

ノード内部の出力を決定する計算式は、以下のとおりです。

y = w0*x0 + w1*x1 + w2*x2 + ...

このように、複数の入力 x0,x1,x2,…x0, x1, x2, \dotsx0,x1,x2,… に対して、それぞれに対応する「重み」w0,w1,w2,…w0, w1, w2, \dotsw0,w1,w2,… を掛け合わせ、合計して出力 yyy を得る形で構成されています。この重みこそがパラメータと呼ばれるもので、学習が進むにつれて最適な値に更新されていきます。

なぜ大量のパラメータが必要なのか

大規模モデルでは数十億、あるいは数千億ものパラメータを持ちます。膨大なパラメータは多様な言語表現や概念を汎用的に捉えるために必要です。

たとえば、MicrosoftのPhi-4は140億個のパラメータを持ち、それらが複雑に絡み合うことで膨大な知識を圧縮しているのです。

人間の脳や従来型DBとの違い

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人間の脳の場合、ニューロン間のシナプス結合が学習のカギを握っています。

一方、従来のシステムではデータベースに格納された情報を直接検索・参照して用いる仕組みが一般的です。ニューラルネットワークではこれらに似ている部分と大きく異なる部分が混在します。

“そのままの情報”はどこにもない

データベースであればレコードとして登録された情報を取り出すことができます。

しかし、ニューラルネットワークの場合、「記憶」はパラメータの組み合わせとして分散的に埋め込まれており、直接「この項目はここ」という形では存在しません。そのため、パラメータを検索して特定の情報をまるごと取り出すことは不可能です。

推論による「知識」の取り出し

ニューラルネットワークに質問を与えると(LLMであればプロンプトを入力すると)、学習済みのパラメータを総合的に参照し、関連する情報を推測・生成します。

これは、いわば“脳内のシナプスを辿る”ようなプロセスで、従来のDB検索とは大きく異なる方法で知識を「取り出している」のです。

LLMの学習プロセスと実践的な活用

学習サイクル

  1. 大量のテキストデータを用意する
  2. ネットワークのパラメータ(重み)を初期値から少しずつ調整する
  3. 出力結果と正解データとの誤差を比較し、誤差が小さくなるように再調整を繰り返す

このサイクルを膨大な規模で行い、最終的にモデルが自然な文章を生成できるように仕上げます。

応用分野

LLMは文章生成や翻訳、要約、プログラミング支援など、非常に幅広い分野で活躍し始めています。また、大量のパラメータを持つモデルは、一度学習することで応用範囲が格段に広がるため、チャットボットやカスタマーサポートなどビジネスシーンでも活用が急増中です。

AI(LLM)の知識を支えるパラメータの仕組み:まとめ

LLMの性能はパラメータ数を増やすことでさらに高まる可能性がありますが、学習時の計算コストや電力消費などの問題も指摘されています。

一方で、パラメータに記憶が分散しているからこそ、新たなインサイトや多様な分野への展開が見込めるという側面もあります。これらを正しく理解しておくことが、AIを安全かつ効果的に活用するための第一歩となるでしょう。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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