Flowise AIの始め方:開発環境のセットアップ手順
「LLM(大規模言語モデル)を活用したアプリケーション開発」と聞くと、専門的な知識や膨大なコーディングが必要だと思われがちです。しかし、今回ご紹介する「Flowise」というツールは、その常識を覆します。
Flowiseを使えば、驚くほど少ないコード、あるいは全くコードを書かずに、パワフルなAIアプリケーションを構築できるのです。開発者向けツールと謳われながらも、その直感的な操作性から、非エンジニアでもAI開発に挑戦できる可能性を秘めています。
この記事ではFlowiseがどのようにAI開発のハードルを下げ、あなたのAIプロジェクトをどのくらい加速させるのか、紹介します。

この記事の内容は上記のGPTマスター放送室でわかりやすく音声で解説しています。
Flowiseとは何か?ローコードAI開発の新潮流

Flowiseは、オープンソースのローコードツールであり、開発者がカスタマイズされたLLMオーケストレーションフローとAIエージェントを構築するために設計されています。
かつてAI開発は、まるで複雑な配線を扱うかのように専門知識が不可欠でしたが、Flowiseが登場したことで、その風景は一変しました。最大の特徴は、直感的なビジュアルビルダーを備えている点にあります。
ユーザーは、ドラッグ&ドロップ操作でドキュメントローダー、テキストスプリッター、LLMといったさまざまなコンポーネント(ノード)をキャンバスに追加し、それらを接続することで複雑なAIプロセスやワークフローを構築できます。
このノードベースのアプローチにより、特定のノードを簡単に別のものと交換することが可能となり、たとえば使用するLLMプロバイダーを変更したい場合でも、該当するLLMノードを置き換えるだけで対応できます。開発チームは、このローコードおよびドラッグ&ドロップUIのアプローチにより、迅速な反復開発を実現し、テスト段階からプロダクション環境への移行を加速させることができます。

Flowiseの主要機能:何ができるのか
Flowiseの最大の魅力は、豊富な機能セットです。LLMを核としたAIアプリケーション開発に必要なコンポーネントが「ノード」として提供され、これらを組み合わせることで多様なワークフローを構築できます。
主要コンポーネント
- LLMノード: Chat OpenAI、ChatGoogleGenerativeAIなど様々なチャットモデル
- エージェントノード: OpenAI Function Agent、Conversational Retrieval Agentなどドキュメントローダー: PDF、Webページ、CSV、Notion、GitHubなど多様な形式に対応
- メモリノード: Buffer Memory、Conversation Summary Memoryなど長期記憶として機能
- * ベクトルストア: Pinecone、Chroma、Qdrantなど効率的なデータ検索を実現
さらに、Flowiseはこれらの基本構成要素に加え、外部システムとの連携を可能にするツールノードを豊富に提供しています。
たとえば、Web検索を行うツール、APIを呼び出すツール、ファイルを読み書きするツール、さらにはSQLデータベースとやり取りするツールなどがあり、AIエージェントに外部の情報にアクセスしたり、アクションを実行したりする能力を与えることができます。
カスタムツールを簡単に作成
特筆すべきは、ユーザーがカスタムツールを簡単に作成できる機能です。Node.jsとJavaScriptの知識があれば、外部Nodeパッケージ(例:Pokemonパッケージ)を利用した独自のツールを開発し、Flowiseのワークフローに組み込むことが可能です。
この機能により、Flowiseの拡張性は飛躍的に高まります。FlowiseはLangflowと比較して、テキストだけでなく画像などのデータタイプもシームレスに扱えるマルチモーダルAI機能への強力なサポートを提供している点も強みです。
実践!Flowiseの導入と具体的なユースケース

Flowiseを使い始めるための方法はいくつかありますが、ローカルマシンにセットアップするのが一般的なアプローチです。
前提条件として、最新のLTS版Node.js、Git、およびVS Codeのようなコードエディタが必要であり、Node.jsとJavaScriptに関する基本的な経験があるとスムーズです。セットアップの手順は以下の通りです。
セットアップ手順
- まず、FlowiseのGitHubリポジトリをGit cloneコマンドでローカルにダウンロードします。
- 次に、ダウンロードしたフォルダ内で統合ターミナルを開き、
yarn install
コマンドを実行して必要な依存関係をインストールします。 - インストールが完了したら、
yarn build
コマンドでプロジェクトをビルドします。これで開発版のFlowiseが利用できるようになります。 - 最後に、
yarn start
コマンドを実行すればFlowiseが起動し、通常localhost:3000
でブラウザからアクセスできるようになります。
カスタムツールで外部Nodeパッケージを利用したい場合は、Flowiseプロジェクトのpackages/components
フォルダに移動し、yarn add [パッケージ名]
でパッケージを追加した後、ルートディレクトリに戻って再度yarn install
とyarn build
を実行します。
さらに.env
ファイルにTOOL_FUNCTION_EXTERNAL_DEPENDENCY=[パッケージ名]
を追記する作業が必要です。これにより、作成したカスタムツールから追加したNodeパッケージを利用できるようになります。
Flowiseを他のツールと比較:違いと選び方

AI開発をサポートするローコード/ノーコードプラットフォームはFlowise以外にも存在します。特にFlowiseと比較されることが多いのが、同じくオープンソースのローコードツールであるLangflowです。
両者とも、ビジュアルインターフェースを用いたノードベースのAIワークフロー構築という共通点を持っています。しかし、いくつかの重要な違いがあります。
機能面では、FlowiseはマルチモーダルAI機能(テキスト、画像など)へのサポート や、データ暗号化、OAuth認証を含むエンタープライズレベルのセキュリティ機能 においてLangflowよりも優位性があります。
FLOWISE VS LANGFLOW
同じくオープンソースのLangflowは、Flowiseと最もよく比較されるツールです。両者の特徴を比較してみましょう。
Flowiseの強み
- マルチモーダルAI機能(テキスト、画像など)への優れたサポート
- データ暗号化、OAuth認証などエンタープライズレベルのセキュリティ
- 豊富なツール連携とカスタムツール作成機能
Langflowの強み
- より直感的なユーザーインターフェース
- Pythonスクリプトによる独自コンポーネント作成
- 迅速なプロトタイピングに最適化された設計
どちらのツールが優れているというよりは、プロジェクトの目的や開発者の経験、必要な機能に応じて最適なツールを選択することが重要です。場合によっては、両方のツールを組み合わせて使用することで、より幅広いソリューションを構築できる可能性もあります。
まとめ:AI開発を「コードレス」に変えるFlowiseの力

AI開発の民主化が進む中で、Flowiseは多くの人々にとって強力な味方となるでしょう。AIアプリケーションのアイデアはあるものの、コーディングスキルが障壁になっていると感じている方、あるいはAI開発の効率を drasticallyに向上させたいと考えている技術者にとって、Flowiseは試す価値のあるツールです。ぜひ一度、Flowiseの世界に飛び込んで、あなたのAIアイデアを形にしてみてください。