DeepSeekの利用規約をしっかりと読み込んでみる

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DeepSeekの利用規約から読み取る入力データの行方

利用規約上は「DeepSeekが中国の企業であり、中国本土の法律を準拠法とすること」「サービスの運営会社が杭州や北京を含む複数拠点に所在すること」などが明示されており、データの取扱いも中国の法律・規制に従う可能性が高いです。ただし、実際に入力データ(Inputs)がどの国のサーバーで物理的に保管・処理されるか、またどのように暗号化・匿名化されるかなどの詳細は、当該利用規約からは必ずしも明確に読み取れません。

以下にポイントをまとめます。

  1. 運営主体・適用法
    • DeepSeekは中国の企業グループ(杭州・北京など)によって運営されています。
    • 規約では「人民共和国の法律に従う」「紛争は中国本土の裁判所へ」と明記されています。
    • したがって、サービス全体が中国の管轄下にあることは事実です。
  2. データの保管場所
    • 規約には、「(サービス提供やモデル向上のために)InputsとOutputsを暗号化・匿名化した上で最小限の範囲で利用する」とあるものの、どの国でサーバーを運用しているか、また中国国内だけなのか、海外にも分散しているか、などの具体的情報は明示されていません。
    • 一般的に、中国企業が提供するクラウドサービスやAIサービスの場合、中国国内のサーバーにデータが保存される可能性があります。
  3. 中国の法律・規制の影響
    • 中国本土でデータが保管・処理される場合、中国の関連法(サイバーセキュリティ法や個人情報保護法など)の適用を受ける可能性があります。
    • 中国の規制機関や法執行機関からの要請があれば、企業は対応を求められる場合もあります。
  4. プライバシーポリシーの確認
    • プライバシーポリシー(DeepSeek Privacy Policy)で、より詳しいデータの保存先やアクセス権限、外部へのデータ移転などについて言及している可能性があります。
    • データを「どこで」「どのような保護体制で」処理するかを正確に把握するには、プライバシーポリシーの記載を確認する必要があります。

以下に、DeepSeekの利用規約(Terms of Use)の概要と、それに基づく主なリスク(注意点)をまとめます。


1. 規約の概要

1.1 運営主体と適用範囲

  • DeepSeek(Hangzhou DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd.、Beijing DeepSeek Artificial Intelligence Co., Ltd.ほか関連会社)は、ウェブサイト、アプリ、SDK、APIなどを通じてGenerative AI(生成AI)を含むさまざまなサービス(以下「本サービス」)を提供する。
  • 個別の機能やサービスに関する「個別規定(Specific Terms)」が存在する場合、そちらが本規約より優先される。
  • DeepSeek Open Platform Terms of Serviceは、APIその他の開発者向けツールやプラットフォームに関する利用条件を定める。
  • プライバシーに関しては、別途DeepSeek Privacy Policyを参照する。

1.2 サービス内容

  • 大規模言語モデルを用いた生成AIサービス。ユーザーが入力したテキストや画像、ファイルなど(Inputs)をもとに、モデルがテキストやコードなどを生成(Outputs)して返す。
  • ユーザーはOutputsに対して「いいね」や「よくない」などのフィードバックを行うことができる。
  • サービスの追加・アップグレード・修正・停止・終了の可能性がある。法律や規制の変更に応じて、サービスや技術、手法が調整される場合がある。

1.3 アカウントの登録

  • 原則18歳以上を想定。18歳未満の場合は保護者の同意と監督下で使用する必要がある。
  • アカウント登録時には正確で合法的な情報を提供し、アカウントやパスワードの管理責任を負う。アカウントの譲渡や貸与は不可。
  • アカウントの不正使用、紛失、パスワード漏洩等があった場合、速やかにDeepSeekへ連絡し、必要な措置をとる。

1.4 利用上の禁止事項・遵守事項

  • 違法、攻撃的、差別的、ポルノ、暴力、テロ関連、その他公序良俗に反するコンテンツを生成・投稿してはならない。
  • 虚偽や誤解を招く情報の拡散、他者の名誉・権利を侵害する行為、他人を詐称する行為などは禁止されている。
  • サービスやネットワークを妨害したり、不正アクセスや逆アセンブル・逆コンパイル、ソースコード等の不正取得を行うことは禁止。
  • 深刻な有害リスクを伴う用途(違法行為、差別、危険行為、独占・不公正競争など)での利用は禁止。
  • Outputsを公開・配信する場合は「AIが生成したものである」旨を明示し、真偽や正確性を十分に確認する責任がユーザーにある。

1.5 入力データ(Inputs)と出力データ(Outputs)

  • ユーザーが本サービスに入力する情報(Inputs)は、ユーザーが適法に利用権限を持っているものに限る。
  • DeepSeekは、サービス向上やモデル改善等の目的で、暗号化や匿名化されたデータを最小限の範囲で利用する可能性がある。
  • Outputsの権利は、法律上許容される範囲でユーザーに帰属すると規定。ただし、Outputsには誤りや抜け漏れが含まれる場合があり、あくまで参考情報であることに注意する必要がある。
  • 医療・法務・金融その他専門領域での利用については、専門家に相談することを推奨し、DeepSeekは正確性や適法性等を保証しない。

1.6 知的財産権

  • ソフトウェアや技術、プログラム、コード、モデル、ユーザーインターフェースなどDeepSeekが開発・提供するサービスのあらゆる知的財産権は原則DeepSeekに帰属する。
  • DeepSeekのロゴや商標などを、DeepSeekの事前の書面による許可なく使用・登録申請することは禁止。

1.7 責任制限と免責

  • DeepSeekは、本サービスを「現状有姿(AS IS)」で提供し、商品性や特定目的適合性などを含む明示または黙示の保証は行わない。
  • ユーザーの利用が要件を満たすこと、サービスが中断やエラーなく提供されること、Outputsの正確性や最新性、信頼性などを保証しない。
  • 違法行為、規約違反、第三者権利侵害が確認された場合、DeepSeekはアカウント停止等の措置をとることができる。損害や責任については、ユーザー自身が負担する場合がある。
  • DeepSeekは、逸失利益などの間接損害や特別損害に対する責任を負わない(法令で免責が認められる範囲内)。
  • ユーザー側の規約違反等によりDeepSeekやその関連会社が損害を被った場合、ユーザーは補償責任を負う場合がある。

1.8 輸出管理・制裁

  • 本サービスやデータのやりとりに関して、該当する輸出管理法や制裁法令(Export Control and Sanctions Laws)を遵守する必要がある。

1.9 準拠法および裁判管轄

  • 規約やサービスに関する争訟は、中国(中華人民共和国本土)の法律が準拠法となり、杭州市(または北京)DeepSeekの登録地を管轄とする裁判所で解決する。

1.10 規約変更

  • 法令や技術、サービス内容の変更などに応じて規約が改訂されることがある。改訂後もサービスを利用し続ける場合は、新たな規約に同意したものとみなされる。

2. 想定される主なリスク・注意点

  1. 生成物(Outputs)の正確性・信頼性リスク
    • 大規模言語モデルを用いた生成AIは、誤った情報や不正確な情報を返す可能性がある。特に医療、法務、金融など専門的領域では、誤情報による損害が生じるリスクが高い。
    • 規約上、DeepSeekはOutputsの正確性や最新性を保証しておらず、利用者自身の責任で情報の真偽を確認し、必要に応じて専門家の助言を得る必要がある。
  2. 利用者側のコンテンツ責任リスク(InputsとOutputs)
    • ユーザーが提供する入力データ(Inputs)について、違法性や第三者の権利侵害等がないかを確認する責任はユーザーにある。
    • Outputsを公表する際にも、AI生成である旨を明記し、不正確な情報や違法な表現を含まないか確認する必要がある。
    • ユーザーが不適切なコンテンツを生成・拡散した場合、アカウント停止や法的責任が発生するリスクがある。
  3. アカウント管理・セキュリティリスク
    • パスワード等の認証情報管理は利用者の責任とされ、漏洩や不正アクセスがあっても、ユーザー側の過失が疑われる場合にはDeepSeekの責任が限定される可能性がある。
    • アカウントの譲渡や貸与は規約違反となり、利用停止措置を受けるリスクがある。
  4. ユーザーが提供するデータの利用・プライバシーリスク
    • DeepSeekは、サービスの維持・改善やAIモデルの学習のため、暗号化・匿名化のうえで最小限必要な範囲でInputsおよびOutputsを利用することが明記されている。
    • 個人情報の取り扱い自体はプライバシーポリシーに準拠するが、完全にデータ利用を拒否したい場合、サービスの利用に制限が出る可能性がある。
  5. 規約違反に対するペナルティリスク
    • 利用規約に反する行為(不法行為や誹謗中傷、技術的な不正アクセスや、DeepSeekの権利侵害など)があれば、DeepSeekはアカウント停止・削除や必要に応じた法的対応(監督当局への通報・協力)を行うことがある。
    • 違反行為が原因でDeepSeekや第三者が被害を被った場合、損害賠償責任がユーザーに及ぶ可能性がある。
  6. 免責条項による損害救済の制限リスク
    • DeepSeekは、間接的・派生的損害(逸失利益やビジネス機会の損失など)に対する責任を原則負わない。
    • Outputsをもとに判断・行動した結果の損害は、基本的にユーザーの自己責任となる。
  7. 中国法準拠・紛争解決におけるリスク
    • 利用規約の準拠法は中国(中華人民共和国本土)の法律であり、紛争が生じた場合はDeepSeekの登録所在地の裁判所が管轄となる。
    • 海外ユーザーの場合、訴訟手続きや法的手段を行使する際に言語・管轄・手続き上のハードルが高くなる可能性がある。
  8. 輸出管理・制裁関連のリスク
    • サービスの利用やデータのやり取りが各国の輸出管理や制裁法令に抵触しないよう、利用者自身が確認・遵守する必要がある。
    • 違反すると、アカウント停止や法的制裁が科されるリスクがある。

3. まとめ

DeepSeekの利用規約は、AI生成コンテンツの取り扱いに関する注意点と利用者責任の明確化が特徴です。生成モデルの限界や誤情報リスクを理解し、Outputsの内容をチェックしたうえで活用する必要があります。また、利用者自身によるコンテンツの合法性・正確性確認、アカウント管理、輸出管理規制への対応など、多岐にわたる注意義務が課されています。

特に以下の点に注意が必要です:

  1. 出力されるデータの誤情報リスクを踏まえて利用すること。
  2. 違法・公序良俗に反するコンテンツ(誹謗中傷・差別・暴力・テロ関連など)の生成禁止。
  3. アカウントやパスワードの厳重管理。
  4. DeepSeekがデータをサービス改善のために利用する可能性。
  5. 違反行為によるアカウント停止・法的責任。
  6. 中国法が準拠法であること。

これらを総合的に考慮したうえで、本サービスを利用するか判断し、利用する場合には関連法令や規約に反しない運用を徹底することが望ましいでしょう。

参考)DeepSeek 利用規約

監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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