DeepSeek 3.2が実現!Thinking in Tool-Useの革新で企業のAI活用が変わる。

AI活用ブログ
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2025年12月、DeepSeekは新たなフラッグシップモデルとなるDeepSeek 3.2を発表しました。従来版のV3.2-Expを正式に継承し、推論力、エージェント運用、ツール利用の一体化など、企業ユースに直結する大幅な強化が施されています。

さらに、推論特化型のDeepSeek 3.2 Specialeも同時に公開され、数学・アルゴリズム領域では世界トップクラスの結果を残しています。本記事では、DeepSeek 3.2シリーズの特徴、Specialeとの違い、企業での活用ポイント、API利用上の注意点までを整理し、最新AIモデルをどのように業務改善へ活かすべきかを解説します。

なおこの記事で紹介する情報は2025年12月11日時点のものです。


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DeepSeek 3.2とは何か

DeepSeek 3.2は、前世代モデルであるDeepSeek V3.2-Expを正式に引き継ぐ後継モデルです。推論精度と回答長のバランスを重視し、日常的に使える汎用モデルとして位置づけられています。

パフォーマンスは公式発表においてGPT-5クラスに達するとされており、コストと処理速度のバランスから、企業の常用モデルとして十分に採用余地があります。すでにアプリ・Web・APIの全プラットフォームで利用可能です。

DeepSeek 3.2の特徴:推論力とエージェント性能

最大の進化点は、Thinking in Tool-Useへの対応です。これは、推論プロセスと外部ツールの呼び出しを統合する新アーキテクチャで、従来の「モデルが考える→ツールを呼ぶ」という分離された流れを置き換えるものです。

DeepSeekは1,800以上のシミュレーション環境、85,000件を超える複雑タスクを学習素材として、大規模なエージェント行動データを合成。これにより、ツール利用を伴うタスクでも推論の流れが途切れず、より人間に近い判断が可能になりました。たとえば、ワークフロー内で「ツールで情報検索→推論→計算→再検索」という複雑な操作が必要な場合でも、一連の流れを自然に処理し、エージェントの精度向上に寄与します。

DeepSeek 3.2 Specialeとは:推論特化モデルの実力

SpecialeはDeepSeek 3.2をさらに推論特化型に強化したモデルです。数学・アルゴリズムで世界的コンテスト水準の能力を示し、IMOやICPC World Finalsなどの評価でゴールドメダル級の結果を記録しています。

Gemini 3.0 Proと肩を並べる、あるいは領域によっては上回るレベルに達しているとされ、複雑な問題解決が求められる企業の分析・最適化・研究用途に向いています。

ただし、SpecialeはAPI限定公開で、現在はツール利用が制限されています。また、高度な推論を行うため、3.2よりもトークン消費が増える点には注意が必要です。

DeepSeek 3.2とSpecialeの違い:どちらを企業は使うべきか

項目DeepSeek 3.2DeepSeek 3.2 Speciale
特性バランス型、日常利用向け推論特化型、研究レベル
パフォーマンスGPT-5級Gemini 3.0 Pro級、数学分野最強クラス
ツール利用可(Thinking対応)不可(期間限定APIのみ)
トークン効率良いやや高コスト
想定ユースケースFAQ、文章生成、分析補助最適化問題、アルゴリズム設計、複雑な計算

企業が選ぶ際の基準は次の通りです。

  • 日常の業務効率化が目的なら3.2
  • 高度な計算や研究用途があるならSpeciale
  • エージェント運用をしたいなら3.2一択(Thinking in Tool-Use対応)

Thinking in Tool-Useとは何か

今回のアップデートで最も注目されるのが、DeepSeek独自のThinking in Tool-Useです。これは、推論プロセスの内部でツール利用を組み込み、モデルが思考ステップの中で外部ツールを自然に扱う技術です。

従来は「推論したあとにツール利用を判断する」方式が一般的でした。しかし、この手法では複雑なタスクで思考が分断されやすく、エージェントの精度に限界がありました。DeepSeek 3.2は推論とツール利用を統合することで、以下のメリットが得られます。

  • 複数ツールを跨ぐワークフローを自然に処理
  • 状況に応じた検索・計算・外部API呼び出しを自動選択
  • マルチステップ推論の精度を改善

API利用のポイント

Specialeは2025年12月15日までの期間限定エンドポイントで提供されており、URLも専用となっています。

企業用途の場合、特にSpecialeを業務ワークフローに組み込む場合は運用期限に注意が必要です。

DeepSeek 3.2 / 3.2 Speciale 料金表

モデル入力(Prompt)出力(Completion)備考
DeepSeek 3.2$1.00 / 1M tokens$2.00 / 1M tokensApp / Web / API で利用可能
DeepSeek 3.2 Speciale$1.00 / 1M tokens$2.00 / 1M tokensAPI限定。ツール利用不可。2025年12月15日までの一時提供

補足

  • 料金体系は従来のDeepSeek V3.2-Expと同じレートです。
  • Specialeは推論能力が高いため、同じ処理でもトークン消費量が増える傾向があります。
  • Specialeは期間限定エンドポイントで提供されるため、長期運用を前提とするシステムでは注意が必要です。

企業でのユースケース

DeepSeek 3.2の特徴は、推論力だけでなくエージェント運用に強いことです。企業では次のような用途が想定できます。

  • 社内FAQ・ヘルプデスクの自動回答
  • ツール利用を含む業務フロー自動化(入力→分析→レポート生成)
  • 文章生成・要約・議事録作成
  • 検索+分析を伴う市場調査
  • ロジックが必要なシミュレーション業務

一方、Specialeは以下のような専門性の高いケースで強みを発揮します。

  • 数理最適化
  • 大規模データのアルゴリズム検証
  • 研究開発向けの仮説生成
  • 設計パラメータの最適化

DeepSeek 3.2登場!まとめ

DeepSeek 3.2は、推論力だけでなくツール利用とエージェント性能を統合した点で、モデルとしての成熟度が大幅に高まりました。日常業務の生産性向上に加え、システム開発や自動化の基盤として活用できるポテンシャルがあります。一方、Specialeは高度な思考能力を求めるケースに特化し、研究領域や複雑な業務判断に適しています。企業が導入を検討する際は、利用目的とモデルの特性を踏まえて、最適な組み合わせを選ぶことが重要です。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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