企業向けAIプラットフォーム Google Agentspaceとは?

Googleが作った次世代のAIプラットフォーム

企業の生産性向上やイノベーション創出を加速させるうえで、社内の膨大なデータをどのように活用するかは重要な課題です。Google Cloudが提供する「Google Agentspace」は、そんな企業のデータ活用を飛躍的に高めるために設計された次世代のAIプラットフォーム。大規模AIモデル「Gemini」をはじめとした高度なAI技術を活用し、企業内外の情報を統合的に検索・分析・活用できる柔軟な環境を提供します。

本記事では、Google Agentspaceの主な特徴や利用方法、そして同じGoogleが提供する大規模AIモデル「Gemini」との違いをわかりやすく解説します。


Google Agentspaceとは?

Google Agentspaceは、企業向けに特化したAIプラットフォームです。Google Cloudの安全なインフラ上に構築されており、組織内に蓄積された非構造化データ(ドキュメント、メール、音声、動画、コードなど)から表形式のデータ、さらには外部データソースまで横断的に検索・解析できます。GmailやGoogleドライブだけでなく、box、Slack、Jira、GitHub、Outlook、SharePoint、OneDrive、Salesforceにも対応しています。

1. マルチモーダル対応

Agentspaceは、大規模AIモデル「Gemini」や画像生成モデル「Imagen」、動画解析モデル「Veo」など、Googleが誇る最新AI技術を統合。テキスト、画像、動画、音声など、あらゆる形式の情報を理解・処理できるため、多角的なアプローチで業務の効率化をサポートします。

2. 統合検索機能

Googleといえば検索技術のリーダーであることは周知の事実。AgentspaceでもGoogleの検索技術が活かされており、従来はバラバラに管理されていたドキュメントやメール、社内システム、外部サービスのデータから、関連性の高い情報を瞬時に横断検索できます。「欲しい情報が見つからない」という時間ロスを大幅に削減し、業務効率を飛躍的に高めてくれます。

3. サードパーティアプリケーションとの連携

企業では、Confluence、Google ドライブ、Jira、Microsoft SharePoint、ServiceNowなど、さまざまなサードパーティアプリケーションが日常業務で使われています。Agentspaceは、これらの主要ツールと簡単に連携できるため、データを一元的に管理でき、サイロ化された情報を一括検索・活用できるのが特徴です。

4. カスタムAIエージェントの構築

Agentspaceには、ローコードのビジュアルツールが用意されており、開発経験が浅い部門でもAIエージェントを構築・調整しやすくなっています。たとえば、マーケティング部門向けに特化したレポート作成エージェントや、営業チーム向けの顧客対応エージェント、人事担当者向けのオンボーディング支援エージェントなど、各部門のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。

5. セキュリティとプライバシー

Agentspaceは、Google Cloudの高度なセキュリティ基盤の上に構築されており、ロールベースのアクセス制御やデータの暗号化機能を標準搭載。機密情報が含まれる社内データを取り扱う場合でも、安心して利用できる環境が整っています。


Google AgentspaceとGeminiの違い

よく混同されがちですが、GeminiはAIモデルそのものであり、Agentspaceは企業向けのソリューションプラットフォームという明確な違いがあります。

  • Gemini:
    • Google DeepMindが開発した最新世代のマルチモーダルAIモデル。テキスト、画像、音声、動画、コードなど、多様な形式を理解・生成可能。ネイティブツールコールにも対応しているため、Google検索やコード実行、外部API呼び出しなど柔軟なタスクを実行できます。
  • Google Agentspace:
    • GeminiをはじめとしたAIモデルをバックエンドとして活用し、企業内の情報検索や業務自動化を支援するためのプラットフォーム。複数のサードパーティアプリケーションとの連携やカスタムエージェントの構築など、企業内での実践的な活用を想定した設計になっています。

つまり、GeminiはAIの“頭脳”Agentspaceは企業内のさまざまな情報やアプリケーションを繋ぐ“土台”とイメージするとわかりやすいでしょう。


Google Agentspace導入ステップ

Agentspaceは、2025年1月現在、早期アクセスプログラムが用意されています。興味をお持ちの方は、以下のステップを参考に導入を検討してみてください。

  1. 早期アクセスの申し込み
    Google Agentspaceの公式サイトから、早期アクセスプログラムに申し込みます。Google Cloudの営業担当者やパートナー企業を通じて相談するとスムーズです。
  2. 初期設定
    提供開始後、組織の要件に合わせてデータソースの指定やサードパーティアプリケーションとの連携を設定します。導入初期にしっかり要件定義を行うことで、後々の運用がスムーズになります。
  3. カスタムAIエージェントの構築
    ローコードのビジュアルツールを活用し、各部門の業務に最適化されたAIエージェントを構築。例えば、マーケティング部門ではソーシャルメディア分析やキャンペーン管理支援、営業部門では商談支援、など各チームごとに必要な機能を追加しましょう。
  4. 従業員への展開
    設定が完了したら、従業員がAgentspaceを利用できるようにトレーニングやヘルプドキュメントを整備します。理解度を高めることで、Agentspaceの真価を最大限に引き出せるようになります。

Agentspaceの具体的な活用シーン

Agentspaceは、どのような部署や業務で活用できるのでしょうか。いくつかの事例を見てみましょう。

1. マーケティング

  • キャンペーンのパフォーマンス分析:
    • SNSや広告媒体など、複数のデータソースからキャンペーンの効果を分析し、次の戦略に活かす。
  • コンテンツの最適化:
    • AIによる自然言語処理や画像解析技術を活用し、最適なコピーライティングやビジュアルの提案を得られる。

2. 営業

  • 顧客とのコミュニケーション支援:
    • 過去のやりとりや製品情報を一元管理し、商談・提案に役立つ情報を瞬時に引き出せる。
  • 市場調査の効率化:
    • 競合分析やトレンド分析を自動化し、製品ロードマップに反映させやすくなる。

3. 人事

  • 新入社員オンボーディング:
    • 社内規程や研修資料をAIがわかりやすくまとめ、新入社員に適切な情報を提供。
  • 福利厚生情報の管理:
    • よくある問い合わせ内容をAIエージェントが対応し、人事担当の負荷を低減。

4. エンジニアリング

  • バグの特定と解決:
    • チケット管理システムやバージョン管理ツールと連携し、関連情報を一括で検索・分析。
  • 技術文書の検索:
    • 大量のドキュメントやソースコードから必要な記述を瞬時に見つけ出し、開発効率を向上。

Agentspaceがもたらす企業変革

企業が抱える膨大かつ複雑なデータを一元的に管理し、有効活用できるプラットフォームは、今後ますます重要性が高まるでしょう。Google Agentspaceは、高度なAIモデル(Gemini など)の“推論力”と、Google Cloudの“セキュアなインフラ”を組み合わせることで、企業の情報活用を促進し、生産性向上やイノベーションを加速させる可能性を秘めています。

今後の展望

  • さらなるモデルのアップデート:
    • Geminiはバージョンごとに機能が大きく進化することが予想されます。
  • サードパーティ連携の拡充:
    • 既存の人気ツールだけでなく、新たなツールとの連携が拡充され、より幅広いビジネスシーンをカバーするでしょう。
  • 国内企業での事例増加:
    • 日本企業がAgentspaceを導入するケースが増えるにつれ、ベストプラクティスや導入ノウハウがより具体化し、活用の幅も広がっていくはずです。

Google Agentspaceがいち早くビジネスシーンで普及すれば、企業規模や業種を問わず、新たな価値創造の機会を得られるのではないでしょうか。興味のある方は、まずはGoogle Cloud公式サイトや営業担当者にお問い合わせのうえ、早期アクセスプログラムの申し込みを検討してみてください。

参考)Google Agentspaceの公式サイト

監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。

「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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