Copilot Studioの活用法とChatGPTとの徹底比較
Microsoftが提供する「Copilot Studio」は、自然言語やローコードで独自のAIアシスタント「Copilot」を作成・カスタマイズできる強力なツールです。一方、OpenAIの「ChatGPT」は、汎用的な対話型AIとして広く利用されています。本記事では、IT担当者向けにCopilot Studioの詳細な使い方と、ChatGPTとの主要な違いを解説します。
Copilot Studioの詳細な使い方
Copilot Studioを活用することで、業務プロセスの効率化や顧客サービスの向上を図ることができます。以下に、具体的な使用手順を紹介します。
- Copilot Studioへのアクセス:
- 公式サイトにアクセスし、Microsoftアカウントでサインインします。
- サインイン後、Copilot Studioのホームページが表示されます。
- 新規エージェントの作成:
- 左側のナビゲーションから「作成」を選択し、「新しいエージェント」をクリックします。
- エージェントの名前、説明、使用言語を設定します。
- エージェントの指示として、目標、トーン、制限などを詳細に記述します。
- エージェントのカスタマイズ:
- エージェントに知識を追加するため、関連するウェブサイトのURLやドキュメントを入力します。
- エージェントの応答スタイルや口調を編集し、ユーザーとの対話を最適化します。
- エージェントのテスト:
- 作成したエージェントをテスト環境で動作確認し、ユーザーからの質問やタスクに対する応答を検証します。
- 必要に応じて、エージェントの指示や知識を修正・改善します。
- エージェントの公開と運用:
- エージェントの動作が確認できたら、公開ボタンを押してデプロイします。
- 公開後、エージェントは実際の業務やサービスで利用可能となります。
これらの手順により、特定の業務ニーズに合わせたAIアシスタントを構築できます。
Copilot StudioとChatGPTの違い
Copilot StudioとChatGPTは、いずれもAI技術を活用したツールですが、その目的や機能には明確な違いがあります。
1. 開発元と目的
- Copilot Studio:
- 開発元: Microsoft
- 目的: 企業や組織が独自のAIアシスタントを作成・カスタマイズすることを目的としています。
- ChatGPT:
- 開発元: OpenAI
- 目的: 汎用的な対話型AIとして、幅広いユーザーが多様な目的で利用できます。
2. 機能とカスタマイズ性
- Copilot Studio:
- 自然言語やローコードで独自のエージェントを作成可能。
- 業務プロセスの自動化や特定のタスクに特化した機能を持つAIアシスタントを構築できます。
- ChatGPT:
- 汎用的な対話能力を持ちますが、特定の業務ニーズに合わせたカスタマイズには限界があります。
3. 統合性と連携
- Copilot Studio:
- Microsoft 365や他のMicrosoft製品とのシームレスな連携が可能で、既存の業務環境に容易に統合できます。
- ChatGPT:
- 特定のプラットフォームとの直接的な連携機能は標準では提供されていません。
4. 利用対象
- Copilot Studio:
- 企業や組織向けに設計されており、業務プロセスの効率化や顧客サービスの向上を目的としています。
- ChatGPT:
- 個人から企業まで幅広く利用されていますが、主に一般的な情報提供や対話を目的としています。
Copilot Studioの実際の活用事例
Copilot Studioは、さまざまな業界や部門での業務効率化に寄与しています。以下に具体的な事例を紹介します。
ベネッセホールディングスの事例
ベネッセホールディングスでは、企画相談の複雑化に伴い、「情報の検索」や「各部門への相談」に要する時間を大幅に削減する手段として、「社内相談AI」の概念実証（PoC）を開始しました。社内ネットワーク上の750ページ分の情報を取り込み、データセットを改善することで、回答精度の向上を図っています。
この社内相談AIの内製化には、MicrosoftのCopilot Studioを活用しています。ベネッセホールディングスの専務執行役員であり、CDXO兼Digital Innovation Partners本部長の橋本氏は、Copilot Studioの利点として、Microsoft製品上の社内データを活用できること、社員がアプリ上で簡単に開発・テスト・公開できること、ウェブサイトやTeamsなどの公開ツールを容易に選択できること、そして利用料が安価である点を挙げています。
出典：JBS・ベネッセ・ソフトバンク、マイクロソフトの生成AI導入事例を披露
その他の活用方法
1. カスタマーサポートの強化
ある企業では、Copilot Studioを活用して顧客からの問い合わせ対応を自動化するエージェントを作成しました。これにより、顧客対応の迅速化とサポート担当者の負担軽減を実現しています。
2. 人事部門での社内FAQエージェントの導入
人事部門では、従業員からのよくある質問に対応するエージェントを作成し、社内の問い合わせ対応を効率化しています。これにより、人事担当者はより戦略的な業務に集中できるようになりました。
これらの事例は、Copilot Studioが業務プロセスの効率化に大きく貢献することを示しています。
最新のアップデート情報
Copilot Studioは、生成AI技術の統合やエージェント作成機能の強化など、継続的にアップデートされています。最新のリリースでは、ユーザーの質問に対してより適切な応答を生成するための機能が追加されました。
また、Microsoft 365 Copilotとの連携が強化され、TeamsやSharePointなどのアプリケーション内でエージェントを直接デプロイすることが可能になりました。これにより、既存の業務環境にシームレスに統合できます。
Copilot StudioとChatGPTの詳細な違い
セキュリティや情報漏洩なども企業にとって重要なテーマですので、以下の点も考慮する必要があります。
1. データの取り扱い
- Copilot Studio: 企業内のデータやナレッジベースを活用してエージェントをトレーニングできます。これにより、組織固有の情報に基づいた応答が可能です。
- ChatGPT: 一般的なデータセットでトレーニングされており、特定の企業データに基づく応答には限界があります。
2. セキュリティとプライバシー
- Copilot Studio: Microsoftのセキュリティ基準に基づき、企業データの保護が強化されています。特に、商用データの保護機能が組み込まれています。
- ChatGPT: 一般的なセキュリティ対策は施されていますが、企業データの取り扱いに関しては、利用者側での追加対策が必要となる場合があります。
まとめ
Copilot Studio: 業務効率化と顧客サービス向上
Copilot Studioは、企業や組織が独自のAIアシスタントを作成し、業務効率化や顧客サービスの向上を図るための強力なツールです。最新のアップデートにより、生成AI技術の統合やMicrosoft 365との連携が強化され、より柔軟で強力なエージェントの作成が可能となっています。
一方、ChatGPTは汎用的な対話型AIとして広く利用されていますが、特定の業務ニーズに合わせたカスタマイズや企業データの取り扱いに関しては、Copilot Studioの方が優れています。それぞれの特性を理解し、目的に応じて適切に活用することが重要です。
