この記事ではClaudeとChatGPT-4の比較について、エンジニア視点での解説をしていきます。とくに、各モデルの設計思想や得意分野、技術的なアプローチの違いなどを見ていきましょう。
ChatGPTとClaudeの9つの違い
この記事では以下の9つのポイントを比較していきます。
- 開発元と開発目的
- モデルアーキテクチャとパラメータ数
- プロンプト理解と生成能力
- 長文処理とコンテキスト保持
- デバッグ・コード生成の適性
- 安全性と倫理的フィルタリング
- 総合的な適用範囲
- 料金
- 無料版でも使える機能
1. 開発元と開発目的
Claude
Claudeは、Anthropicが開発しているAIで「安全性」や「倫理的なAIの利用」に強くフォーカスしています。
AIを慎重に扱う設計思想があり、とくに安全性とユーザーの倫理的対応に重きを置いており、意図しない内容生成やバイアスの排除が設計段階から考慮されているのが、主な特徴です。
ChatGPT-4
一方、ChatGPT-4はOpenAIによって開発され、基本的な構造は事前学習モデルのパラダイムに沿っています。
最新の大規模データセットを活用して総合的な性能向上を目指しており、自然言語処理だけでなく、多分野のタスクに強く対応する万能モデルとして設計されているのが特徴です。
2. モデルアーキテクチャとパラメータ数
Claude
Claudeのモデルアーキテクチャについては、具体的な詳細は非公開です。
ユーザーのニーズに応じた応答と柔軟な対話構造が備わっており、とくに長文処理においては工夫されています。
ChatGPT-4
ChatGPT-4も詳細なパラメータ数は非公開です。
GPT-3と同様のトランスフォーマーベースで構築されていると推測されていますが、ChatGPT-4はとくに多分野での知識適用や、長文を超えるコンテキスト保持力の強化が進んでいるとされています。
3. プロンプト理解と生成能力
Claude
Claudeは「安全性」や「ユーザー指示への忠実さ」を重視した応答を生成するため、ユーザーが意図しない内容や暴力的・差別的な内容を出さないようにする工夫が強いです。
そのため、指示には忠実ですが、場合によっては表現が抑制されるケースがあります。
ChatGPT-4
ChatGPT-4は多様なタスクに柔軟に対応し、技術的な用語やスクリプト、コード生成にも対応が強いです。非常に広範な領域で応答が可能であり、とくにエンジニアが扱う高度な技術トピックにも対応しやすいのですが、依頼内容が複雑な場合には出力が冗長になることもあります。
4. 長文処理とコンテキスト保持
Claude | ChatGPT-4 | |
コンテキストウインドウの容量 | 200,000トークン | 32,000トークン |
処理できるテキストの文字数 | 20万〜80万文字 | 8万〜12万文字 (OPEN AIからの正式発表ではない) |
Claude
公式からの正式な発表ではないものの、上の表に記載した数値から分かるように、ChatGPT-4と比較するとコンテキストウインドウの容量も処理できる文字数が多いため、Claudeは長文処理が得意です。
エンジニアが大規模な仕様書やマニュアルの理解を求める場合、Claudeはその文脈保持において優れた性能を発揮します。
ChatGPT-4
ChatGPT-4もコンテキスト保持能力は強化されていますが、Claudeと比較するとやや劣ります。
ただし、会話型のタスクではコンテキストの流れを保つ設計がされているため、エンジニアリング用途で複数回のやり取りが必要なケースでは、より柔軟な対応が可能です。
5. デバッグ・コード生成の適性
Claude
Claudeはエンジニアリングの特定用途に対して専門的なサポートがありますが、ChatGPT-4に比べるとデバッグや高度なプログラミングサポートにおいてはやや制限が感じられます。
ChatGPT-4
ChatGPT-4は、コード生成やデバッグにおいても強力なサポートを提供しており、とくにPythonやJavaScriptなどの主要なプログラミング言語に対して非常に高い生成精度を持ちます。コードのエラー検出や、アルゴリズムの構築にも適しているでしょう。
6. 安全性と倫理的フィルタリング
Claude
ClaudeはAnthropicの思想に基づき、安全性と倫理に関するフィルタリングが強化されているため、エンジニアがデリケートな内容を扱う際にもリスクが低い設計となっています。
たとえば、セキュリティ関連やプライバシーに関するトピックがこれに当てはまります。
ChatGPT-4
ChatGPT-4は、多様なシナリオに対応できるよう柔軟に設計されているものの、安全性やコンプライアンスに関するフィルタリングも備わっています。
エンジニアが企業システムでの利用を考える際には、利用制限やAPIレベルでの制御が可能です。
7. 総合的な適用範囲
Claude
Claudeは安全性に配慮したアプリケーション、とくに医療、金融、教育といった分野での利用に適しています。
長文処理能力に優れることから、長いドキュメントや複雑な仕様の理解を必要とするエンジニアに向いているでしょう。
ChatGPT-4
ChatGPT-4は、広範囲にわたる応用可能性があり、とくにIT、データサイエンス、ゲーム開発など、技術的なタスクのサポートに強いと考えられます。
開発者の多様なニーズに応じて、フレキシブルな対応が可能です。
8.料金
ClaudeとChatGPT-4の使用料金は、それぞれ以下の表のようになります。
ブラウザでの利用料金 | |
Claude3.5 Haiku | $20 / 月 (Proプラン) |
Claude 3.5 Sonnet | 無料 |
Claude3 Opus | $20 / 月 (Proプラン) |
ChatGPT-4 | 無料 |
ChatGPT-4o | $20 / 月 |
Claudeには3つのタイプがあり、それぞれに得意分野があります。無料で使えるのは平均的なモデルとされているSonnetのみです。
一方、ChatGPT-4は無料版と有料版の2種類です。有料版の価格については両者とも同じ料金が設定されています。
9.無料版でも使える機能
最後に、それぞれの無料版でどこまで機能が使えるのかも見ていきましょう。
Claude 3.5 Sonnet | ChatGPT-4 | |
メッセージ送信回数制限 | 1日約15分程度 | 3時間ごとに最大10メッセージ |
画像生成 | 不可 | 可能(メッセージ送信回数制限中のみ) |
音声会話 | 不可 | 可能(メッセージ送信回数制限中のみ) |
WEBブラウジング | 不可 | 可能 |
データ分析 | 不可 | 可能 |
ファイルのアップロード | 不可 | 可能 |
ご覧のようにClaudeは、無料版ではほとんどの機能が使えません。
一方、ChatGPT-4は3時間ごとに最大10メッセージという縛りの中では、無料でもChatGPT-4oの機能が使えるため、多くの有料版の機能にも対応します。
ChatGPT-4とClaudeの比較:まとめ
ClaudeとChatGPT-4の選択は、エンジニアが取り組むタスクの性質や必要な応答の深さ、安全性の要件に依存します。
安全性と長文処理が必要な場合はClaude、幅広い技術サポートや高度なコード生成を求めるならChatGPT-4が適していると考えられるでしょう。