Googleは、検索体験を大きく変える次の一手を打ちました。同社が実験的に展開している「AI Mode」に、イベントチケットや美容・ウェルネスの予約まで自動で行う新機能が追加されたのです。これまでの検索が「情報を見つける」ものであったのに対し、新しいAI Modeは「行動を完了させる」段階へと進化しています。企業にとっても、この変化はユーザーとの接点や集客の仕組みを再設計する契機になりそうです。この記事ではGoogleの新機能AI Modeについて詳しく紹介します。
AI Modeとは:検索と生成AIを融合した行動型アシスタント

AI Modeは、Googleが2025年3月に導入した新しい検索体験です。ユーザーが複雑な質問やフォローアップを繰り返しながら、検索結果を自然な会話の流れで深められる点が特徴です。たとえば「金曜日の夜、渋谷で3人で入れる焼き鳥屋を探して」といった具体的な条件を指定すると、AI Modeは複数の予約サイトを横断してリアルタイムの空き状況を調べ、候補リストを提示します。
今回のアップデートでは、対象が飲食店だけでなく、コンサートチケットや美容サロンなどにも拡大。ユーザーは「Shaboozeyのライブ、スタンディングで2枚、安いチケットを探して」と話しかけるだけで、AIが複数サイトを検索し、最適な購入ページに直接誘導してくれます。
「エージェント化」するGoogle:検索から実行へのシフト
今回の更新で注目すべきは、GoogleがAI Modeを単なる検索補助ではなく、「エージェント(代行者)」としての機能へと明確に位置づけた点です。AIはユーザーの指示をもとに、条件を理解し、外部サービスを横断して結果を整理し、最終的に「行動完了」までを導くよう設計されています。
この仕組みは、Googleが8月に試験導入した「レストラン予約支援機能」の拡張版であり、同社が進める生成AIによるSearch+Action戦略の一環といえます。企業や店舗にとっては、検索上位に出ること以上に「AIエージェントに選ばれること」が新たな集客戦略の要になる可能性があります。
高度化するAI検索の背景:Search LabsからProプランへ
この新機能は、現在アメリカのSearch Labs参加ユーザーが利用可能で、Google AI ProおよびUltraプランではより多くの利用上限が設定されています。Googleは安全性と品質を担保するために、独自の品質・安全システムをベースにした設計を採用しており、「まだ実験段階」としながらも、早期に多国展開を進める意向を示しています。
また、AI Modeにはすでに「Canvas」機能が追加されており、調査や学習計画をサイドパネルで整理できるほか、Google Lensを使ってデスクトップ画面上の内容を直接質問できるなど、検索が作業環境に溶け込む方向へ進化しています。
いつから使える?AI Mode

既に日本国内でも使えるようになっています。使い方は簡単。従来のように検索する際に「AIモード」を選択するだけです。
企業にとっての示唆:SEOから「AEO(Agentic Experience Optimization)」へ

GoogleのAI Modeが実現するのは、ユーザーが「調べる」から「完了する」までをAIが一気通貫で支援する体験です。この流れの中で、従来のSEO(Search Engine Optimization)は、AEO(Agentic Experience Optimization)=エージェント対応最適化へと進化すると見られます。
企業サイトがAIエージェントの検索・予約プロセスに正確に対応できるよう、構造化データやAPI連携を整備することが、これからのデジタル戦略の鍵になるでしょう。特に飲食、イベント、ヘルスケア、美容といった予約型ビジネスでは、AIエージェントとの接続性が競争優位を左右する時代が近づいています。
まとめ:AIが「選ぶ側」になる未来

GoogleのAI Modeが目指すのは、「情報の検索」ではなく「行動の最適化」です。エージェント型AIが日常的にユーザーの代わりに調査・比較・予約を行う世界では、企業はAIとの関係を再定義する必要があります。
検索に最適化されたページよりも、AIが「信頼できるデータ源」として選ぶ構造が重要になる。
それこそが、次世代のWeb戦略「AI時代の発見される仕組み」の中核といえるでしょう。


