ChatGPTやClaudeを社内利用するときのリスクと対策まとめ

AI活用ブログ
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生成AIの活用がビジネスシーンで広がるなか、「ChatGPT」や「Claude」などの大規模言語モデル(LLM)を業務に取り入れる企業が増えています。しかし生成AIは便利な一方で、情報漏えいや誤情報など、企業にとって無視できないリスクも存在します。

この記事では、ChatGPTやClaudeを社内で安全かつ効果的に利用するためのポイントを、想定されるリスクとその対策の観点からまとめます。


最近「社外に出せないデータで生成AIを使いたい」という相談をよく聞きます。ChatGPTの利用は社内で禁止されているそうです。セキュリティやコスト面が気になる企業には、社内のローカル環境で動かせる仕組みがあることはご存知ですか?

ChatGPTやClaudeを社内利用する際の主なリスク

まずは、生成AIを業務で使う際に起こり得るリスクを整理しておきましょう。

● 機密情報の外部流出

無料版のChatGPTなどでは、ユーザーが入力した情報がAIの学習に使われる可能性があります。業務文書や顧客情報などをそのまま入力することで、意図せず外部に情報が残るリスクがあります。

● 誤情報・幻覚(ハルシネーション)

ChatGPTやClaudeは、もっともらしい文章を出力する反面、事実と異なる情報を自信たっぷりに提示することがあります。これが社内の判断やレポートに組み込まれると、誤解や意思決定ミスにつながる危険性があります。

● 著作権・コンプライアンスの懸念

生成されたテキストが既存の著作物に類似しているケースや、不適切な表現が混じる可能性もゼロではありません。また、従業員が業務外利用をするケースもあり、社内ポリシーの整備が求められます。

● セキュリティやアクセス管理の不備

誰がどのように生成AIを使っているかを把握できない状態は、内部統制の観点からリスクです。個人アカウントでの無断利用が発生している企業も珍しくありません。

生成AIの社内利用にまつわるリスクへの4つの対策

では、上記のようなリスクにどう対応すれば良いのでしょうか。以下に、具体的な対策例を挙げていきます。

対策①:企業向けプランの利用(ChatGPT Enterprise/Claude Teamなど)

OpenAIやAnthropicは、企業利用を前提としたプランを提供しています。

  • ChatGPT Enterpriseでは、ユーザーの入力はAIの学習に使われず、データは暗号化・管理されます。
  • Claude Teamも同様に、商用・業務利用向けにデータの非学習設定やセキュリティ対策が施されています。

業務での利用は、個人向け無料プランではなく、企業向けプランの導入が基本です。

対策②:利用ガイドラインの整備と周知

生成AIの社内利用に関するルールを文書化し、社内に周知することが不可欠です。たとえば、以下のような項目を盛り込みます。

  • 業務目的以外での使用禁止
  • 個人情報や機密情報の入力禁止
  • 出力内容の事実確認の徹底
  • 機密情報を扱う部署での利用制限

ガイドラインの内容は、定期的に見直して更新しましょう。

対策③:アクセス管理とログの取得

ChatGPTやClaudeを導入する際は、SSO(シングルサインオン)や管理者ポータルの活用が有効です。ChatGPT EnterpriseではSAML SSOが、Claude Teamではユーザー管理機能が利用可能で、誰が何にアクセスしたかを可視化できます。

加えて、利用ログの取得プロンプト履歴の保存・監査が可能なツールを組み合わせると、内部統制の観点からも安心です。

対策④:生成結果のレビューと人による最終確認

生成AIの出力をそのまま使うのではなく、必ず人の目でチェックするフローを取り入れることが重要です。とくに社外に出す文書やレポート、提案書などでは、ハルシネーションのリスクを最小化するため、専門知識を持った担当者がファクトチェックを行うことが求められます。

ChatGPTとClaudeの機能比較(ビジネス向け)

項目ChatGPT EnterpriseClaude Team/Pro
データの学習利用無効(契約時に明示)無効(設定で制御可能)
セキュリティ認証・SSOSAML SSO対応GoogleログインやSSO対応
管理者向け機能ユーザー・ドメイン管理、分析可ユーザー招待・請求管理などあり
プロンプト・履歴の管理管理者によるアクセス可現時点で一部制限あり
日本語対応高い自然さと柔軟性やや硬めだが、論理性が高い

どちらのツールも進化が速いため、最新の機能アップデート情報は随時チェックが必要です。

生成AIを社内導入!成功させる3つのポイント

リスク対策とあわせて、社内で生成AIを定着させるための工夫も重要です。

① スモールスタート+試験運用

いきなり全社導入ではなく、まずは一部チームや特定業務で試験的に導入し、使用感や活用事例を蓄積しましょう。「FAQ生成」「議事録要約」「マニュアルの草案作成」など、導入効果のわかりやすい業務から始めるのがおすすめです。

② 利用促進とナレッジ共有

「使ってみたら便利だった」「こういう使い方が効果的だった」といった社内事例を共有し、活用の幅を広げていく風土づくりがカギとなります。社内勉強会やTips集の配布なども有効です。

③ IT部門による継続的な運用サポート

導入後は、IT部門が中心となってガイドラインのメンテナンスや利用状況のモニタリングを継続しましょう。ユーザーからの問い合わせやトラブル対応に備えたサポート体制も検討すべきです。

生成AIを社内利用するときのリスクと対策:まとめ

生成AIの活用は、企業にとって競争力を高める大きなチャンスとなりますが、その導入には慎重なリスクマネジメントが必要です。ChatGPTやClaudeといった強力なツールを安全かつ効果的に使うためには、「正しいプランの選択」「社内ルールの整備」「人による確認」の3つが欠かせません。

これから導入を検討する企業のIT管理者の方々は、リスクを恐れるのではなく適切にコントロールする意識を持って生成AIの可能性を広げていきましょう。

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会社ではChatGPTは使えない?情報漏洩が心配?

ある日本企業に対する調査では、72%が業務でのChatGPT利用を禁止していると報告されています。社内の機密情報がChatGPTのモデルに学習されて、情報漏洩の可能性を懸念しているためです。

そのため、インターネットに接続されていないオンプレミス環境で自社独自の生成AIを導入する動きが注目されています。ランニングコストを抑えながら、医療、金融、製造業など機密データを扱う企業の課題を解決し、自社独自の生成AIを導入可能です。サービスの詳細は以下をご覧ください。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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