Power Appsライセンス:プラン選択のコツと価格比較
Microsoft Power Appsは、ローコード開発プラットフォームとして、業務アプリケーションの迅速な開発と展開を可能にします。しかしライセンス体系が多様なため、理解が難しい場合も少なくありません。
この記事では、Power Appsの各ライセンスプランの違いや適用例を詳しく解説し、企業や個人が最適なプランを選ぶ際の判断材料を提供します。
Power Appsの主要なライセンスプランの比較表
まずはこちらのPower Appsライセンスの比較表をご覧ください。
プラン名 | 価格 (月額) | 主な機能 | 利用可能な コネクタ | Dataverse 利用 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ユーザーごと のプラン | 約2,998円 | 無制限のカスタムアプリ作成・実行 | 標準およびプレミアムコネクタ | 可能 | 2,000ユーザー以上の場合、約1,799円にディスカウント |
アプリごとの プラン | 約750円 | 特定のアプリケーションの利用 | 標準およびプレミアムコネクタ | 可能 | 1ユーザーが1つのアプリを利用可能 |
Microsoft 365 に含まれるライセンス | Microsoft 365 のサブスクリプションに含まれる | 基本的なカスタムアプリの作成・実行 | 標準コネクタのみ | 不可 | プレミアムコネクタやDataverseの利用には制限あり |
※注記
- 価格や仕様は頻繁に変更される可能性があるため、購入前にMicrosoft公式サイトやパートナー企業の最新情報をご確認ください。
- 各プランの詳細や最新情報については、Microsoftの公式ドキュメントやライセンスガイドをご参照ください。
Power Appsのコネクタとは?
Power Appsのコネクタとは、外部のサービスやデータソースと連携させるためのコンポーネントのことです。
コネクタにより、SharePoint、SQL Server、Office 365、Salesforce、X(旧Twitter)など、さまざまなサービスと接続できます。
コネクタは主に以下の2種類に分類されます。
- 標準コネクタ:
Microsoft 365のサブスクリプションに含まれており、追加費用なしで利用できます。具体的には、SharePoint、Outlook、OneDrive、Excelなどとの連携です。 - プレミアムコネクタ:
追加のライセンスが必要で、より高度なサービスやデータソースとの連携を提供します。具体的には、Salesforce、SQL Server、Azure DevOpsなどとの連携です。
Dataverseとは?
Microsoft Dataverseは、Microsoftが提供するクラウド型のデータプラットフォームです。
Power AppsやPower Automate、Dynamics 365などのアプリケーションで使用されるデータを安全かつ効率的に保存・管理するための基盤を提供します。
Dataverseの主な特徴:
- ローコードでのデータ管理:
プログラミングの専門知識がなくても、直感的な操作でテーブルや列の作成・更新が可能です。 - 多様なデータタイプへの対応:
数値、テキスト、日付、画像、添付ファイルなど、さまざまなデータ形式を扱えます。 - 高度なセキュリティ機能:
ユーザーやチームごとにデータのアクセス権限を細かく設定でき、データの安全性を確保します。 - 他システムとの連携:
Web APIを通じて、他のシステムやサービスとデータを連携させることが可能です。
Dataverseは高度な機能を提供しますが、小規模プロジェクトでは導入コストが高い場合があります。利用を検討する際は、組織の規模やプロジェクトの要件を考慮してください。
Power Appsのライセンスオプション
各プランのメリット、デメリット
プラン名 | メリット | デメリット | 推奨シナリオ |
---|---|---|---|
ユーザーごとのプラン(Power Apps Premium) | – 複数のカスタムアプリを無制限に作成・利用可能 – プレミアムコネクタやDataverseなどの高度な機能が利用可能 | – 月額料金が高め – 小規模な利用にはコスト効率が低い可能性 | – 複数部門で異なるカスタムアプリを使用する場合 – 高度なデータ統合や自動化が必要なシナリオ |
アプリごとのプラン | – 低コストで特定のアプリケーションを利用可能 – 必要なアプリのみライセンスを付与できる | – 利用できるアプリが限定される – 複数のアプリを利用する場合、コストが増加する可能性 | – 特定の業務プロセスを自動化する単一のアプリを展開する場合 – 限定的なユーザーグループに特定の機能を提供する場合 |
Microsoft 365に含まれるライセンス | – 追加コストなしで基本的なカスタムアプリを作成・利用可能 – 標準コネクタを使用してMicrosoft 365サービスと連携可能 | – プレミアムコネクタやDataverseの利用に制限あり – 高度な機能を必要とするアプリの作成には不向き | – 基本的なカスタムアプリの作成と利用 – 既存のMicrosoft 365サービスと連携した簡易アプリの開発 |
Power Appsのライセンスは主に以下の3種類に分類されます。
- ユーザーごとのプラン(Power Apps Premium):
ユーザーごとにライセンスを付与し、無制限のカスタムアプリケーションの作成と実行が可能です。価格は1ユーザーあたり月額約2,998円で、2,000ユーザー以上の場合は約1,799円にディスカウントされます。
(事例)カスタマーサポート部門全体で使用するナレッジ共有アプリ - アプリごとのプラン:
特定のアプリケーションに対してライセンスを付与し、ユーザーはそのアプリを利用できます。価格は1ユーザーあたり月額約5ドル(約750円)です。
(事例)営業チームのための顧客管理アプリ - Microsoft 365に含まれるライセンス:
一部のMicrosoft 365ライセンスには、Power Appsの基本機能が含まれています。たとえば、Office 365 E1、E3、E5、Microsoft 365 Business Basic、Business Standard、Business Premiumなどです。
(事例)社内アンケートアプリ、イベント出欠管理アプリ、簡易タスク管理アプリ
各ライセンスの詳細と適用範囲
①ユーザーごとのプラン(Power Apps Premium)
このプランは、組織内の特定ユーザーが複数のカスタムアプリを作成・利用する場合に適しています。プレミアムコネクタやDataverseなどの高度な機能も利用可能です。
適用例
- 複数の部門で異なるカスタムアプリを使用する場合。
- 高度なデータ統合や自動化が必要なシナリオ。
②アプリごとのプラン
特定のビジネスシナリオに対して、1つのカスタムアプリまたは1つのPower Apps Webサイトへのアクセスを提供します。コスト効率が高く、特定の用途に限定したアプリケーションの展開に適しています。
適用例
- 特定の業務プロセスを自動化する単一のアプリを展開する場合。
- 限定的なユーザーグループに特定の機能を提供する場合。
③Microsoft 365に含まれるライセンス
Microsoft 365の一部のプランには、Power Appsの基本機能が含まれています。ただし、プレミアムコネクタや高度な機能の利用には制限があります。
適用例
- 基本的なカスタムアプリの作成と利用。
- 既存のMicrosoft 365サービスと連携した簡易アプリの開発。
ライセンス選択のポイント
どのライセンスを取得すれば良いのか迷う場合は、以下の3つを中心に考えると良いでしょう。
- 「社内で複数のアプリを使用したいですか?」
組織内でのユーザー数やアプリの利用範囲を考慮し、最適なプランを選択します。 - 「利用するサービスにプレミアムコネクタが含まれますか?」
プレミアムコネクタやDataverseなどの高度な機能が必要かどうかを確認します。 - 「初期費用を抑えたいですか?」
予算に応じて、最もコスト効果の高いプランを選定します。
Power Appsライセンスをわかりやすく解説:まとめ
Power Appsのライセンスは多様なため、どのライセンスを選べばの良いのか、わかりにくいかもしれません。そのような方は、是非この記事の内容を参考にしていただければ幸いです。