OpenAIのResponses APIとAgents SDKが拓く、新時代のAIエージェント開発

AI活用ブログ
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A少し前まで夢物語だった「自律的に情報収集し、手間のかかるタスクを勝手にこなすAIエージェント」が、今まさに現実のものとなりつつあります。

この記事ではOpenAIの新APIやSDKがもたらす具体的なメリット、ビジネス・日常への応用法を詳しく紹介します。


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OpenAIが新たに提供する「Responses API」と「Agents SDK」とは

OpenAIは、独自のAIエージェントであるDeep Research(インターネットを自律的に調査し、引用付きで整理されたレポートを作成するツール)やOperator(ユーザーの指示に基づいてウェブブラウザを操作し、チケット検索や予約などを自動で行うツール)を開発・公開してきました。

これらを支える技術を一般の開発者や企業にも提供し、独自の高度なAIエージェントを構築できるようにするのが今回新しく登場したResponses APIAgents SDKという二つの大きな柱です。

Responses API

Responses APIは、OpenAIの従来のChat Completions APIとAssistants APIの機能を統合・拡張したものです。「内蔵ツール(ビルトインツール)」として以下の三つが用意されています。

Web検索ツール

  • リアルタイムでウェブから情報を取得し、引用付きで回答を提供してくれる機能。
  • ニュース記事や商品の価格情報など、最新情報の検索にも対応。
  • ChatGPTの「Search」を支える技術が組み込まれており、元のソースを明示してくれるため信頼性のチェックも容易。

File検索ツール

  • 大量のドキュメントやファイルに対して、メタデータなどを活用した最適な検索を実行。
  • 検索クエリの最適化やカスタムランキングを行い、必要な情報を的確に抽出。
  • 一度アップロードしたデータを保存し、そこから関連情報を素早く引き出せる。
  • 料金は1,000クエリごとに2.50ドルで、ストレージは1GB/日あたり0.10ドル(最初の1GBは無料)。

Computer Useツール

  • OpenAIの“computer-using-agent (CUA)モデル”により、ソフトウェアの操作やGUIを通じたデータ入力などを自動化。
  • APIやコマンドラインが用意されていないレガシーシステムに対しても、マウス操作やキーボード操作をAIが行うようなイメージ。
  • 現在は使用ティア3~5の開発者向けにリサーチプレビューとして提供中。
  • 料金は入力トークン100万あたり3ドル、出力トークン100万あたり12ドルとアナウンスされている。

    これら三つのツールがResponses APIの中で一貫して使えるようになったことで、複数の外部サービスを組み合わせる必要が減り、開発効率や統合性が飛躍的に向上すると期待されています。

    Agents SDK

    一方、Agents SDKはエージェント間のワークフロー管理やモデル選定、最適化などを行うためのオープンソースツールキットです。

    AnthropicやGoogleなどの競合他社が提供するモデル、あるいはDeepSeekやQwen、Mistral、MetaのLlama系モデルのようなオープンソースモデルとも連携しやすくする設計が特徴的です。

    OpenAIのプラットフォーム責任者であるOlivier Godement氏は「特定のモデルだけを使わせるつもりはない」と明言しており、開発者が自分のニーズに合ったAIモデルを選べる柔軟性を重視しています。

    安全対策として入力バリデーションコンテンツモデレーションといったガードレール、さらにタスクのトレース機能パフォーマンスのモニタリングも充実。社内システムとの連携、機密データの取り扱いなどを考慮する企業にとっては大きなメリットとなるでしょう。

    新APIとSDKがもたらすメリット

    この新APIとSDKがもたらすメリットは以下の通りです。

    1. 導入コストと開発工数の削減:従来はプロンプト設計やカスタムロジック構築が不可欠だったが、Responses APIとAgents SDKによって大部分が標準化される。
    2. 高度なタスクの自動化による生産性向上:Web検索やファイル検索、GUI操作のように、分野横断的な作業を一つの仕組みで自動化可能。問い合わせ対応や市場調査、ドキュメント整理などのワークフローが大幅に効率化。
    3. セキュリティとオブザーバビリティの両立:Guardrails(ガードレール)機能やトレース機能により、エージェントがどのようにタスクを実行しているかを可視化できる。コンテンツモデレーションなどの仕組みも組み込まれており、企業としてリスク管理を行いやすい。
    4. オープンソースの柔軟性:Agents SDKがオープンソースで公開されているため、社内の独自要件に合わせてカスタマイズしやすい。外部モデルとの組み合わせで、ビジネスに最適なソリューションを構築可能。

    なぜ今、この技術が重要なのか – Reasoningモデルの進化

    OpenAIによると、近年のAI発展において鍵となるのは、長期的なタスクのプランニングや高度な論理処理を可能にする“Reasoningモデル”です。とくに「o1」や「o3」といった“o”ファミリーのモデルは、長いタスクを分割しつつ自律的に遂行する能力を高めました。

    Olivier Godement氏は「ReasoningモデルこそがAIエージェントを可能にするうえで非常に重要」と述べ、これまでは開発者がその力を手軽に利用しづらかった背景を語っています。

    今回の新APIやSDKは、こうした障壁を取り除き、より多くの企業や開発者が実用的なエージェントを作れるようにするものです。

    今後の展望

    OpenAIは、今後もResponses APIやAgents SDKを中心とした開発者向けプラットフォームを拡充していく計画です。追加のツールや統合機能を順次リリースし、「より簡単に、より安全に、より効率的に」エージェント型AIを開発・運用できる環境を提供するとしています。

    Godement氏も「OpenAI単独であらゆるエージェントを作るわけにはいかない。だからこそ開発者コミュニティを支援するプラットフォームが必要だ」と語っており、今後もコミュニティ主導の活発な開発が進む見込みです。

    「Responses API」と「Agents SDK」:まとめ

    OpenAIから新たに発表された「Responses API」と「Agents SDK」について紹介しました。これらはAIエージェントの開発を大幅に簡素化し、高度な自動化を可能にする重要なツールです。上手に活用すれば、企業や開発者にとってより実用的なAIソリューションを構築できるようになるでしょう。AI業界を引っ張っていく企業、OpenAIの今後の動向にも注目です。

    参考)Agents SDK

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    監修者:服部 一馬

    フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

    非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
    「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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