Claude Code Securityとは?AIで脆弱性検出とパッチ提案を加速する新機能

AI活用ブログ
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ソフトウェアがビジネスの中核になるほど、脆弱性対応は「技術課題」ではなく「経営リスク」になっています。一方で、脆弱性は増え続け、セキュリティ人材は足りない。従来の静的解析やSASTだけでは拾いきれない“文脈依存の欠陥”が攻撃に悪用されるケースも増えています。こうした状況に対し、Anthropicは防御側に最先端の検出・修正支援を届ける新機能として「Claude Code Security」を研究プレビューで提供し始めました。本記事では、B2Bの意思決定者が押さえるべき狙い、仕組み、運用フロー、導入条件と今後の論点を整理します。


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開発・セキュリティ現場の課題:脆弱性の増加と人手不足

多くの企業で、プロダクト開発は高速化し、利用するOSSやクラウドサービスも増えています。その結果、脆弱性情報(CVE等)の流通量は増大し、対応優先度の判断やパッチ適用の意思決定が追いつかない状況が常態化しています。セキュリティチームはアラートや監査対応に追われ、開発チームは機能開発と並行して修正作業を抱える。バックログが積み上がるほど、未対応期間(Exposure Window)が長期化し、インシデント確率も上がります。

1. 開発・セキュリティ現場の課題:脆弱性の増加と人手不足
1. 開発・セキュリティ現場の課題:脆弱性の増加と人手不足

既存の自動解析ツールは重要な基盤ですが、多くは「既知のパターン」に基づく検出が中心です。たとえばハードコードされた秘密情報や古い暗号化方式など、典型的な問題には強い一方で、次のような“微妙で文脈依存”な欠陥は見逃されやすい傾向があります。

  • ビジネスロジックの抜け穴(割引条件や権限条件の想定漏れなど)
  • アクセス制御の破綻(権限チェックの位置・経路差分による迂回)
  • 複数コンポーネントにまたがるデータフロー起因の不備(入力検証の境界が曖昧なケース)
  • 仕様と実装のズレに起因する“攻撃可能な状態”

本来、これらは熟練のセキュリティ研究者がコードを読み解き、設計意図やデータの流れを追って初めて見つかる類の問題です。しかし、その人材は希少で、現場は慢性的に不足しています。ここにAIが入ることで、「検出の質」と「対応スピード」の両方を押し上げられる可能性が出てきました。

Claude Code Securityの概要:守る側に“最先端の攻防力”を届ける狙い

Claude Code Securityは、Web版のClaude Codeに組み込まれた新しいセキュリティ機能で、コードベース全体をスキャンして脆弱性を見つけ、さらに人間のレビュー用に“狙いを絞ったパッチ案”を提示します。重要なのは、単にアラートを増やすのではなく、「見つける→検証する→直す」を一連の流れとして短縮する設計にある点です。

Anthropicが強調する背景には、AIが防御だけでなく攻撃にも使われ得るという現実があります。高度なモデルが未知の高深刻度脆弱性を見つけられるなら、攻撃者も同様の能力で探索・悪用を加速させる可能性がある。だからこそ、防御側にその能力を先に、かつ責任ある形で提供し、AI時代の新しい攻撃カテゴリ(AIにより発見・悪用される欠陥)に備える狙いがあります。

提供形態が「限定的な研究プレビュー」である点も示唆的です。精度や誤検知、運用上の安全性、組織内の責任分界(誰が承認するか、どこまで自動化するか)など、現場導入には実務的な論点が多い。先行ユーザーと共同で磨き込みつつ、責任ある展開を目指すフェーズだと捉えるのが妥当です。

仕組み:ルールベース静的解析を超える推論型スキャンと検証プロセス

従来の静的解析は、多くの場合ルールベースです。既知の危険な書き方、特定APIの誤用、パターン化されたアンチパターンなどを検出する一方、アプリ固有の前提や複雑な依存関係、条件分岐を跨いだ挙動までは追いきれないことがあります。

3. 仕組み:ルールベース静的解析を超える推論型スキャンと検証プロセス
3. 仕組み:ルールベース静的解析を超える推論型スキャンと検証プロセス

Claude Code Securityの特徴は、コードを「パターン照合」ではなく「推論」して読む点にあります。人間のセキュリティ研究者が行うように、コンポーネント間の相互作用を理解し、データがどこから入り、どのように加工され、どこに到達するかを追跡しながら、複合的な欠陥を見つけにいきます。結果として、ルールベースツールが取りこぼしやすいアクセス制御やビジネスロジックの脆弱性などに踏み込める可能性があります。

多段階の検証で“誤検知コスト”を下げる

AI支援で現場が最も懸念するのは、誤検知が増えてレビュー負荷が上がることです。Claude Code Securityでは、検出結果をそのまま提示するのではなく、結果ごとに多段階の検証プロセスを通します。Claudeが自分の指摘を再検証し、成立するか否かを“反証”しようとすることで、誤検知をフィルタし、アナリストの時間を浪費しない設計を目指しています。

さらに、各指摘には深刻度(Severity)が付与され、チームが優先順位を付けやすくなります。加えて、ソースコードだけでは判断が難しいニュアンスがあることを前提に、信頼度(Confidence)も提示されます。これにより「重要だが確度が低い」「中程度だが確度が高い」といった現実的な意思決定が可能になります。

“提案パッチ”は人が確認できる形で

もう一つの要点は、修正案が「ターゲットを絞ったパッチ」として提示されることです。単なる説明ではなく、既存コードの構造やスタイルを保ちながら、最小限の変更でリスクを下げる提案を目指します。これにより、開発者はゼロから修正方針を考える時間を減らし、レビューと適用判断に集中できます。

運用フロー:検出→重要度/信頼度→ダッシュボードでレビュー→人が承認して修正

Claude Code Securityは「自動で直すツール」ではなく、「人間の判断を前提に、検出と修正検討を加速するツール」と位置づけられています。運用フローをイメージできるかどうかが、導入検討の第一歩になります。

  • 検出:コードベース全体を並列にスキャンし、文脈を踏まえて脆弱性候補を抽出
  • 検証:各指摘を多段階で再検証し、誤検知を抑制
  • スコアリング:深刻度(Severity)と信頼度(Confidence)を付与し、トリアージを支援
  • 可視化:ダッシュボードに検出内容、影響、理由、推奨パッチを提示
  • レビュー:セキュリティ/開発が内容を確認し、変更の妥当性と副作用を評価
  • 承認と修正:人間が承認したものだけを適用(最終責任は常にチームが保持)

この流れは、既存のセキュリティ運用(トリアージ、レビュー、変更管理)と整合します。重要なのは、AIが出した結論を“自動適用”するのではなく、提案を材料にして人が最終判断する統制設計になっている点です。B2Bの現場では監査証跡や変更管理が求められるため、承認プロセスを前提にした設計は導入しやすさにつながります。

また、ダッシュボードで「なぜ問題か」「どこが根本原因か」「どんな修正が妥当か」を一体で見られることは、セキュリティチームと開発チームのコミュニケーションコストを下げます。単発のアラートではなく、修正までの“作業単位”として提示されることで、バックログの圧縮に寄与しやすくなります。

導入と今後:研究プレビューの提供条件、オープンソース支援、AI時代の防御戦略

Claude Code Securityは、2026年2月時点で「限定的な研究プレビュー」として提供されています。対象はEnterpriseおよびTeamの顧客で、早期アクセス参加者は提供側と協働しながら機能を改善していく位置づけです。加えて、オープンソースのリポジトリメンテナには、無償かつ迅速なアクセス枠が用意される方針が示されています。OSSは多くの企業システムの基盤であり、上流の安全性向上はサプライチェーン全体の防御力に直結するため、この支援は実務的な意味が大きいと言えます。

5. 導入と今後:研究プレビューの提供条件、オープンソース支援、AI時代の防御戦略
5. 導入と今後:研究プレビューの提供条件、オープンソース支援、AI時代の防御戦略

研究面では、AnthropicのFrontier Red TeamがCTFへの参加や、重要インフラ防御に関する研究機関との協働などを通じて、モデルのサイバー防御能力を継続的に検証してきたことが背景にあります。さらに、Claude Opus 4.6を用いた検出で、長年見逃されてきた脆弱性が多数見つかったという報告もあり、AIが“長期潜伏バグ”を掘り起こす現実味が増しています。

AI時代の防御戦略としての示唆

今後、世界中のコードがAIでスキャンされる比率は急速に高まる可能性があります。攻撃者がAIで探索を高速化するなら、防御側も同等以上の速度で発見し、先に塞ぐ必要があります。企業としては、次の観点で導入効果を評価すると現実的です。

  • 検出範囲:既存SAST/DASTで拾えない“文脈依存”の欠陥にどこまで届くか
  • 誤検知率:多段階検証と信頼度表示が、レビュー負荷を実際に下げるか
  • 修正リードタイム:提案パッチにより、修正着手からマージまでが短縮されるか
  • 統制:人間承認、監査、変更管理の要件に適合するか
  • 体制:セキュリティと開発の役割分担(誰がレビューし、誰が承認するか)

AIをセキュリティに適用する際は、ツールの性能だけでなく、運用設計とガバナンスが成否を分けます。Claude Code Securityは「最終決定は人」という前提を明確にしており、AI活用を進めたい企業にとって、実装と統制のバランスを取りやすいアプローチだと考えられます。

まとめ

Claude Code Securityは、AIがコードを推論的に読み解き、従来のルールベース解析が見逃しやすい脆弱性を検出し、さらに修正パッチ案まで提示することで、脆弱性対応のボトルネックを縮めることを狙った新機能です。多段階検証、深刻度と信頼度の付与、ダッシュボードでのレビュー、そして人間承認を必須とする統制設計により、B2Bの現場で求められる実務要件にも配慮されています。

AIが攻撃にも防御にも使われる時代、競争力の差は「見つける速さ」ではなく「先に塞ぐ運用能力」に出ます。限定研究プレビューという早い段階から検証に参加し、自社の開発プロセスに合う形で“AI前提の脆弱性対応”を整備できるかが、これからのセキュリティ投資の重要な論点になっていくでしょう。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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