文章生成AIといえばOpen AI のChat-GPTが有名ですが、最近はBing Chat Enterpriseの名前を聞く機会も増えてきました。では、両者の違いは何なのでしょうか。この記事では、Bing Chat EnterpriseとChat-GPTの違いについて詳しく紹介します。
Bing Chat Enterpriseとは
Bing Chat Enterpriseは、Microsoftが提供する文章生成AIです。GPT-4をベースにした言語モデルを採用しており、最新情報も反映されます。また、テキストだけではなく、画像を活用した回答も生成できるなど、以下のような特徴があります。
- GPT-4を活用した高精度の回答
- 最新の情報にも対応
- 画像を活用した回答の生成が可能
最新情報について
Bing Chat Enterpriseは元々、Bing検索により最新の情報に対応しています。一方、Chat-GPTはこれまで2021年9月までの情報しか持っていなかったため、回答に最新情報を反映していませんでした。
しかし、2023年9月に「Chat-GPTでもBingを使用してユーザーの質問を処理し、最新の検索結果をベースに回答を生成する」とMicrosoftから発表があったため、今後はChat-GPTでもBing Chat Enterprise同様でも、Bing検索の最新情報をベースにした回答が生成されます。
Bing Chat Enterpriseがビジネスでも使いやすい理由
データ学習されない
情報漏洩の不安から、これまでChat-GPTの使用を禁止している企業は少なくありませんでした。しかし、Bing Chat EnterpriseはAIに入力データを学習されないため、ビジネスにも取り入れやすい仕様になっています。
情報の正確性を確認できる
Bing Chat Enterprise の回答には、引用文献がリンクされています。そのため、利用者は回答された情報が正確なものなのか、引用元から判断することができます。
Bing Chat Enterpriseの活用シーン
Bing Chat Enterpriseはクラウドサービスとして提供されているため、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでも利用できます。ビジネスに取り入れる場合、以下のようなシーンで活用できるでしょう。
- コンテンツ生成
- 新しいスキルの学習
- 顧客対応
- データ分析
- 社内ヘルプデスク
- 教育
- マーケティング
- 研究開発
Bing Chat Enterprizeでは社内データを活用できない
Bing Chat Enterprise は、Bing検索結果からのデータのみを基盤とした生成AI サービスです。 OneDrive 内のドキュメント、メール、または Microsoft 365 Graph のその他のデータなど、Microsoft 365 内の組織のリソースやコンテンツにアクセスすることはできません。
そのような社内のデータを活用するには、2023年11月から利用できるMicrosoft 365 Copilotを活用する必要があります。Microsoft 365 Copilotでは、Bing Chat Enterprizeに追加して、次の 3 つのことが対応可能になります。
- テナント内の Microsoft Graph 内のデータにアクセスします。
Microsoft Graph は、Microsoft 365 のさまざまなサービスからデータを取得したり、他のアプリと連携してデータを処理したりできるサービスです。REST API を利用し、ユーザーやグループ、メール、Teamsなど、多岐にわたるデータにアクセスすることができます。 - プロンプトと応答は、Microsoft 365 テナントの境界内で、その他の Microsoft 365 固有のセキュリティ、コンプライアンス、プライバシー機能と共に完全に処理されます。
- Teams、Outlook、Wordなどの Microsoft 365 アプリケーションから、この生成 AI 機能にアクセスできます。
組織内の特定のユーザーとグループに対するアクセスの管理
Bing Chat Enterpriseが、Microsoft 365 管理センターの対象となる Microsoft 365 ライセンスに追加されました。 社内のIT管理者は、このサービスプランを使用して、特定のユーザーとグループの Bing Chat Enterprise へのアクセスを管理することができます。
Microsoft はIT 管理者がチャット履歴にアクセスするためのツールを提供していません。また、Bing Chat Enterprise でチャット履歴を保持することもありません。 ただし、社内ネットワークやデバイス上の内部ログ、デバイス、ネットワークログなど、IT 管理者が利用できる他の監視方法の対象となる場合があります。
Bing Chat EnterpriseとChat GPTの比較
Bing Chat Enterprise | Chat GPT | |
使用モデル | GPT-4 | GPT-4、GPT-3.5 |
情報漏洩 | データを学習されない | データが学習されることもある |
ユーザー毎の利用管理 | 可能 | 不可 |
料金 | Microsoft 365 E3、E5、 Business Standard、 Business Premium のプランに標準で含まれる。 単体で利用する場合、1ユーザーあたり月額5ドル | GPTプラスは月額20ドル。 GPT-3.5は無料。 |
まとめ
Bing Chat EnterpriseとGPT-4はどちらも優れたチャットボットサービスですが、両者にはさまざまな違いがあります。生成AIをビジネスに取り入れる際には、自社のニーズに合わせた適切なサービスを選ぶことが重要です。