ブラウザが「行動するAI」に？Fellouが変える情報収集と仕事の常識
もし、今使っているブラウザが、あなたの指示ひとつでこれらの面倒な作業を自動でこなしてくれる、まるで超一流の執事のような存在に変わったら？ そんな夢を叶える「AIブラウザ」という新しい波が来ています。
とくに注目を集める「Fellou」は、従来のブラウザともAIチャットボットとも全く異なる、「行動するAI」をブラウザに統合した存在です。この記事では、このAIブラウザ「Fellou」が一体どのようなもので、私たちの働き方をどう変えうるのか、その驚くべき機能、支える技術、導入方法などを解説します。
この記事の内容は上記のGPTマスター放送室でわかりやすく音声で解説しています。
「検索」の次へ：Fellouが拓く、ブラウザを駆使するAIエージェント最前線
Fellouとは何か？ 「行動するAIブラウザ」がもたらす衝撃
AIブラウザ「Fellou（フェロー）」は、人工知能（AI）技術を搭載し、ユーザーのブラウジング体験をより効率的にする次世代のウェブブラウザです。従来のブラウザが主に情報を表示するツールであり、情報の検索やウェブサイトの操作を利用者自身が行う必要があったのに対し、Fellouはユーザーの自然な言葉での指示を理解し、その指示に基づいてAIが高度な情報検索や複雑な一連の作業を自動的に実行します。
これは、単にAIが文章を生成したり質問に答えたりするAIチャットボットとも一線を画します。AIチャットボットはブラウザを操作できませんが、FellouはAIがログイン、クリック、入力といった実際のブラウザ操作を代行できる点で大きく異なります。自らを「世界初のエージェンティックブラウザ」と称するように、Fellouは単なるツールではなく、ユーザーの意図を理解し、自律的に行動する「エージェント」としての側面を持っています。
「行動するAI」が実現する背景
この「行動するAI」が可能になった背景には、大規模言語モデル（LLM）の進化に加え、「Function Calling（関数呼び出し）」や「Tool Use（ツール利用）」といった、AIが外部のツールやAPIを呼び出して現実世界で「アクション」を起こせるようにする技術の発展があります。
Fellouは、こうした最新のAI技術をブラウザという身近なインターフェースに統合することで、情報収集から特定サイトでの作業までを一貫して自動実行し、作業効率を飛躍的に高めることを目指しています。
それはまるで、あなたのデジタル領域に常に待機している超有能なデジタル執事やAIパワードコンパニオンが、指示に応じて複雑なタスクを代行してくれるような感覚です。Fellouが目指すのは、単なる作業の自動化ではなく、生産性の概念そのものを再定義し、AIを人間の能力を拡張するパートナーとすることで、働き方をよりスマートで効率的なものに変えることなのです。
２つの強力な柱：Deep SearchとWorkflow機能の詳細
Fellouの驚くべき能力を支える核となる機能は、主に「Search（調査）」と「Workflow（作業）」の２つです。
Search（調査）
まず、Search機能は、ユーザーが自然言語で調査したい内容を指示するだけで、AIがインターネット上の情報を深く掘り下げて収集する機能です。
従来の検索ではアクセスしにくいログインが必要なプラットフォーム（例えばQuora、X、LinkedInなど）を含む、クロスプラットフォームでの並列・バッチ検索を可能にすることで、短時間でより包括的な情報を取得できます。単に情報を集めるだけでなく、その収集した情報をAIが整理し、構造化されたHTML形式のレポートとして出力する点がSearch機能の最大の特徴です。
このレポートは、見出し、リスト、図などが用いられ、分野別に整理された階層的で視覚的な構成を持ち、まるでプロのリサーチャーが作成した資料のように、そのまま情報源として活用したり、共有したりすることができます。市場調査や競合分析といった、通常であれば多くの時間と手間がかかる情報収集・分析作業を大幅に効率化できます。
Workflow（作業）
一方、Workflow機能は、ウェブブラウザ上で行う繰り返し作業や定型的な操作を自動化する機能です。ログイン、フォームへの情報入力、ボタンのクリック、テキストや画像のコピー＆ペースト、ファイルのアップロード・ダウンロードなど、ブラウザで行えるほとんどの操作がWorkflow機能によって自動化可能です。
ユーザーはチャット欄に自然言語で「特定のECサイトで価格を調べてスプレッドシートにまとめる」「Gmailで定型メールを送る」「SNSに投稿する」といった具体的な作業内容を指示するだけで、FellouのAIがその指示に基づき、実行すべきタスクを自動的に計画・実行します。
特筆すべきは、これらのWorkflowタスクは「Shadow Workspace」と呼ばれるバックグラウンドで実行されるため、ユーザーはAIに作業を任せつつ、別のタブやアプリケーションで別の業務に集中できる点です。
これにより、定型作業に張り付く必要がなくなり、大幅な時間短縮と生産性向上が期待できます。ただし、現時点ではSearch機能で得た情報を直接Workflow機能に引き継いで連続したタスクを実行することは難しく、この連携には手動での操作が必要になる点には注意が必要です。
Fellouを支える技術の深層とライバルたちの動向
Fellouの「行動するAI」としての能力は、その基盤となる先進的な技術によって支えられています。中心的な役割を担っているのが、JavaScriptベースのエージェント開発フレームワーク「Eko」です。
Ekoは、開発者が自然言語とコードを組み合わせて、複雑なエージェントベースのワークフローを構築することを可能にします。Ekoフレームワークは、ユーザーの自然言語での指示を解釈し、それを実行可能なタスクプランに自動生成する能力を持ちます。複雑なタスクは階層的なプランニングによって、より小さなサブタスクに分解され、実行の信頼性と柔軟性を高めています。
また、Fellouがウェブページ上の要素を正確に認識し操作できるのは、Visual-Interactive Element Perception (VIEP) 技術などの独自のWeb抽出技術によるものです。この技術は、HTMLのDOM構造や構造化された意味認識を活用することで、ウェブページ全体の情報を処理するよりも効率的に（トークン数を削減しつつ）正確にインタラクティブな要素を識別できるという利点があります。
Fellouを使えるようになるまでの手順
- 公式サイトでウェイティングリストに登録
- Fellouの公式サイト（https://fellou.ai）にアクセスし、「Be an Early Adopter」ボタンからウェイティングリストに登録します。
- 登録後、招待コードが届くまで待機します。
- 公式Discordサーバーに参加
- Fellouの公式Discordサーバー（https://discord.com/invite/Ecxgn9B2MS）に参加します。
- 不定期に配布される招待コードを入手できる可能性があります。
- 招待コードを使用してアーリーアクセス版を入手
- 招待コードを取得したら、指示に従ってアーリーアクセス版をダウンロードし、インストールします。
- Fellouの起動とチャット欄の表示
- Fellouを起動し、新しいタブを開いて
Tabキーを押すか、画面右下のFellouアイコンをクリックしてチャット欄を表示します。
- Fellouを起動し、新しいタブを開いて
- 自然言語での指示とタスクの実行
- チャット欄に自然言語で指示を入力すると、AIがタスクを自動生成します。
- 「Run」ボタンをクリックして、タスクを実行します。
注意点
- 対応OS：現在、FellouはmacOSのみ対応しています。Windows版は開発中です。
- 拡張機能：FellouではChrome拡張機能を利用できません。
- 機能の連携：「Search」機能で得た情報を直接「Workflow」機能に引き継ぐことはできません。
Fellouの利用料金
料金については、現在のアーリーアクセス版は無料ですが、AIサービスの利用にはコストがかかるため、将来的に有料化される可能性は高いと考えられます。正式版の具体的な料金体系はまだ発表されていません。
行動するAIブラウザ「Fellou」：まとめ
本稿では、AI技術を搭載し、ユーザーの自然言語での指示に基づきブラウザ操作や情報収集を自動実行する次世代のAIブラウザ「Fellou」について解説しました。
2025年5月現在、アーリーアクセス版が無料で利用可能ですが、対応OSはmacOSのみであり、拡張機能は利用できない といった注意点もあります。
また、新しいサービスゆえのセキュリティや信頼性に関する考慮も必要です。AIエージェントの導入には課題もありますが、Fellouはブラウザを「行動するAI」に変えることで、私たちの働き方をより創造的で効率的なものへと導く「デジタル執事」 として、未来の生産性向上において重要な役割を果たすかもしれません。
参考）公式ページ：https://fellou.ai/
