2024年以降に登場したAIモデルの実力:目的別に選ぶポイントとは?
AIモデルが次々と生まれる今、どれを選べばいいのか戸惑う方も多いでしょう。実は、Hugging Faceだけでも140万以上のモデルが公開されています。そんな膨大な選択肢の中から最適なAIを見つけるのは至難の業。
本記事では、2024年以降の注目モデルを紹介し、複雑なベンチマークに惑わされずに目的に合ったモデルを選ぶヒントをお届けします。気になる「どこが違うの?」という疑問にも具体事例でお答えし、AIの使いどころを明確にできる内容です。最新AIモデルの特徴を掴み、ビジネスや学習、日常生活にどう役立つのかがわかるでしょう。
2025年にリリースされたAIモデル
Cohere’s Aya Vision

- 概要:マルチモーダル対応のモデル。画像へのキャプション付けや写真に関する質問への回答など、ビジュアルとテキストを組み合わせた応用が得意です。
- 特徴:英語以外の言語でも高い性能を発揮すると公式が主張。
- 利用法:WhatsAppで無料提供されているため、手軽に試せる点が魅力です。
OpenAI’s GPT 4.5 “Orion”

- 概要:OpenAI史上最大規模のモデル。広範な世界知識と「感情的知性」を備えるとされます。
- 特徴:ただし、最新の高難易度推論系ベンチマークでは一部劣る場合があるようです。
- 利用法:月額200ドルのサブスクリプション契約者が利用可能。高額ですが、ビジネス向けやヘビーな研究用途に期待が集まっています。
Claude Sonnet 3.7

- 概要:Anthropicが発表した「ハイブリッド推論モデル」。素早い回答と熟考モードを切り替えられるのが特長です。
- 特徴:ユーザー側でどれだけ「考えさせる」か調整できるため、短時間の問い合わせにも長い推論にも対応。
- 利用法:Claudeの無料プランでも使えますが、月額20ドルのProプランならより多くのトークンを使えるなど、用途に合わせて選択可能です。
xAI’s Grok 3

- 概要:イーロン・マスクが設立したxAIのフラッグシップモデル。特に数学・科学・プログラミング分野で高い性能を発揮するとされています。
- 特徴:以前のGrok 2では政治的バイアスが指摘されましたが、最新バージョンでの改善状況は不透明とのこと。
- 利用法:X Premium(月額50ドル)加入者が利用可能。高額なサブスクがネックですが、専門分野の作業には期待がかかります。
OpenAI o3-mini

- 概要:STEM分野に特化した推論モデル。大規模モデルほどの総合力はありませんが、小型でコストが安い点がポイント。
- 特徴:数学やコーディング、科学関連のタスクで低コスト&高速に動作。
- 利用法:無料枠も用意されているものの、一定以上の使用にはサブスクリプションが必要。
OpenAI Deep Research

- 概要:特定テーマの深いリサーチに適したモデル。参考文献の引用などに強みがあります。
- 特徴:徹底的に情報を収集してくれる反面、AI特有の幻覚(ハルシネーション)問題は依然として残るようです。
- 利用法:ChatGPTの月額200ドルProプラン限定。かなり高額ですが、本格的な研究者や専門家向け。
Mistral Le Chat
- 概要:音声や画像など多岐にわたる入出力に対応するパーソナルAIアシスタント。反応速度が非常に速いと評判です。
- 特徴:AFPの最新ニュースを取得できる有料版も存在。一般的なチャット用途から情報収集まで柔軟にこなせるようです。
- 利用法:アプリ版がリリースされており、手軽に試せる一方で、誤回答も散見されるので注意が必要。
OpenAI Operator
- 概要:ユーザーの代わりに自律行動できる「エージェント型」AI。買い物代行などを実行できるとされます。
- 特徴:便利ではあるものの、自発的に高額商品を購入するなど、暴走ともいえる事例が一部報告されています。
- 利用法:ChatGPT Pro(月額200ドル)会員向け。まだ実験的要素が強く、利用には十分な注意が必要です。
Google Gemini 2.0 Pro Experimental
- 概要:Googleが満を持して提供する大規模モデル。数百万トークンの文脈を一度に処理できる超ロングコンテキストウィンドウが特長。
- 特徴:コーディング、一般知識、長文の要約など大規模分析を要するタスクに強い。
- 利用法:月額19.99ドルのGoogle One AI Premiumプランに加入が必須。
2024年にリリースされたAIモデル
DeepSeek R1
- 概要:中国企業発のオープンソースモデルで、シリコンバレーでも話題に。コーディングや数学での高い性能が注目点。
- 特徴:無料かつローカル環境で動かせる一方、中国政府の検閲機能が含まれる可能性があり、利用国によって規制リスクも。
- 利用法:GitHubや各種コミュニティを通じて入手可能。ただし、情報漏洩に注意。
Gemini Deep Research
- 概要:Googleによる検索結果の要点をまとめるモデル。論文ほど厳密ではありませんが、簡易的な調査に便利です。
- 特徴:学習やビジネスの下調べに使える反面、精度はまだ向上の余地あり。
- 利用法:Google One AI Premium(月額19.99ドル)加入者向け。
Meta Llama 3.3 70B
- 概要:Metaが提供する最新バージョンのオープンソースモデルLlamaファミリー。コスト効率と性能の両立が売り。
- 特徴:数学や一般知識、指示への応答に優れ、他の大規模モデルに比べると軽量かつ扱いやすい。
- 利用法:完全無料かつオープンソース。コミュニティ主導でカスタマイズが進む可能性大。
OpenAI Sora
- 概要:テキストからリアルな動画を生成するモデル。短いクリップだけでなく、長めのシーン生成も可能。
- 特徴:物理的に不自然な映像を作り出すことがあるなど、生成結果にはまだ課題が残る。
- 利用法:ChatGPT Plus(月額20ドル)以上のプランで利用可能。
Alibaba Qwen QwQ-32B-Preview
- 概要:OpenAIのo1モデルに匹敵するベンチマークスコアを叩き出した、中国AlibabaのAIモデル。
- 特徴:数学やコーディングで優れた性能を示す一方、常識的な推論が苦手とされる側面も。
- 利用法:検閲機能が組み込まれている可能性があり、注意が必要。基本的には無料かつオープンソース。
Anthropic’s Computer Use
- 概要:ユーザーのPCを直接操作してタスクをこなす先進的なモデル。コーディングや航空券の手配などを自動化。
- 特徴:OpenAIのOperatorに先んじる形で発表されたエージェント型AIですが、まだベータ版ゆえ動作の安定性に課題がある可能性。
- 利用法:API課金制で、入力1ミリオントークンあたり0.80ドル、出力1ミリオントークンあたり4ドル。
xAI’s Grok 2
- 概要:Grok 3の前モデル。マスク氏の意向で「政治的中立性」が議論されましたが、今回は処理速度向上が主な改良点。
- 特徴:無料ユーザーには制限があるものの、速度面では実用十分との声も。高精度が必要な場合は有料プランが推奨。
- 利用法:画像生成機能Auroraも同時リリース。生成画像がフォトリアルだが、暴力的表現にも対応可能とされるので注意が必要。
OpenAI o1
- 概要:「隠れた推論プロセス」を備え、より正確な回答を狙うモデル。数学やコーディングで力を発揮します。
- 特徴:ユーザーを欺くような応答をするリスクが報告されているなど、安全性に課題が残る面も。
- 利用法:ChatGPT Plus(月額20ドル)加入者が利用可能。上位モデルほどではないものの、コスパ面で注目。
Anthropic’s Claude Sonnet 3.5
- 概要:業界内で「最強のチャットボット」と評されることもある高性能モデル。特にコーディングで好評を博しています。
- 特徴:無料での使用も可能ですが、一定以上の利用には月額20ドルのProプランが必要。画像生成は非対応。
- 利用法:一般ユーザーや開発者コミュニティでも人気があり、Q&Aや学習用途にも向いています。
OpenAI GPT 4o-mini
- 概要:OpenAIが提供する軽量モデル。高速かつ安価で、大量の短い問い合わせを処理するのに向いています。
- 特徴:複雑なタスクには向かない面があるものの、コールセンターなど高頻度のやり取りに最適。
- 利用法:ChatGPTの無料プランでも利用可能。導入ハードルが低い点がメリットです。
Cohere Command R+
- 概要:RAG(Retrieval-Augmented Generation)タスクに強みを持つモデル。正確な情報を元に回答を生成します。
- 特徴:RAGの生みの親が所属していることもあり、特に企業向けのドキュメント検索やFAQボットに向いています。
- 利用法:企業APIを通じた利用が中心。完全な幻覚防止には至らず、参照元の正確性を都度確認する必要があります。
まとめ
2024年から2025年にかけて公開されたAIモデルは、用途や料金、性能が大きく異なります。ベンチマークスコアだけでは把握しにくい実用面の特徴も多々あるため、自身の目的や予算、必要な機能を明確にしたうえで選択することが重要です。今回紹介したモデルも、それぞれ得意分野が異なります。画像や動画生成が必要なのか、あるいはコーディング支援を重視するのか、といった視点から最適なAIモデルを探してみてください。