ビジネスの意思決定速度は、1日あたり数十件の情報を処理し、瞬時に判断を下すことが求められます。2025年の調査によると、意思決定時間を5%短縮した企業は売上高が7%増加するというデータが示されています。しかし、従来のチャットボットは「速さ」を優先しすぎて、深みのある洞察を提供できないまま回答してしまうケースが多いのが現状です。そんな課題に、Oculusの創業者が手掛ける新しい会話型AI、Sesameが挑むのは、自然な対話で「時間をかけて考える」ことを可能にするアプローチです。
Sesameとは?Oculus創業者が手掛ける会話型AIの背景
Sesameは2015年にOculusの共同創業者が設立したスタートアップで、VR業界のエンジニアリングとAI研究の融合を目指しています。VRで培ったリアルタイムデータ処理技術を応用し、ユーザーの質問に対して複数の検索クエリを同時に実行、結果を即座に統合して返答する仕組みを構築しました。これにより、回答の正確性と自然さを両立させることが可能になったのです。

iOSアプリの新機能:時間をかけて回答する自然な対話
SesameのiOSアプリは、従来のチャットボットと異なり、応答速度と回答品質のトレードオフを解消。AIは一度に複数の検索を並列実行し、途中で得られた情報をリアルタイムに話しに織り込むため、途中で話題を切り替えることも自然です。実際にユーザーは「ChatGPTよりも話しやすい」「情報のアップデートがあるたびに話し直す」などと評価しています。

さらに、レスポンス時間を可視化する「待機時間表示」機能を導入。ユーザーは「何秒で答えるの?」と確認でき、AIは説明の途中で「少し時間をいただきます」と挨拶することで、自然な対話フローを保ちます。この機能により、回答が遅くなるときでも「待つ価値」があると感じさせる設計が完成しました。
個性豊かなAIエージェント:Maya、Miles、Simone、Charlie
Sesameは一つの汎用AIではなく、4つの個別エージェントを提供します。Mayaはビジネス戦略の相談に強く、Milesはテクノロジーの最新動向を深堀り。Simoneはクリエイティブなアイデアを提案し、Charlieは日常業務のタスク管理を得意とします。各エージェントは独自の音声トーン、語彙、偏りを持ち、ユーザーは自身の業務ニーズに合わせて最適な相手を選べます。

ユーザー体験と追加機能:検索カード・メモ・テキストモード
ユーザーからのフィードバックを受け、Sesameは「検索カード」を実装。画像検索結果をカード形式で提示し、会話の中でビジュアル情報を即座に共有できます。また、重要ポイントを「メモ」機能で保存し、後から簡単に呼び出すことが可能です。さらに、音声入力が難しい環境でも「テキストモード」を選択でき、テキストベースでスムーズに対話が継続できます。
加えて、セッションごとに「インコグニートモード」を設け、過去のコンテキストを参照しつつも記憶に残らないプライバシー対応を実現。これにより、機密性の高い議論や顧客情報を扱うビジネスシーンでも安心して利用できます。
未来への展望:AI眼鏡とエージェントのアクション機能
Sesameは2027年のAI眼鏡リリースを目指し、エージェントが単に情報を提供するだけでなく、実際にアクションを起こす「アクション機能」を搭載予定です。例えば、会議の議事録を自動生成したり、スケジュールの調整を行ったり、メールのドラフトを作成して送信するまで、ユーザーの代わりにタスクを完結させることが想定されています。
このような「エージェント」と呼ばれる理由は、対話の中で「行動」を伴う点にあります。従来のチャットボットが「情報を出す」だけだったのに対し、Sesameのエージェントは「考えて行動する」ことで、ビジネスプロセスの自動化と意思決定支援を一体化させる次世代AIとして注目を集めるでしょう。

