カスタマーサポートから創作まで進化する会話AI―Hume『EVI 3』の実力と未来

AI活用ブログ
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AI音声アシスタントやチャットボットは、私たちの日常やビジネスにすっかり溶け込んでいます。しかし、「もっと自然に会話できたら」「自分好みの声で話してほしい」「本当に感情を理解してくれるだろうか?」――そんな疑問や不満を抱いたことはありませんか?

本記事では、AI音声の最先端を行くスタートアップHumeが開発した最新モデル「EVI 3(イーヴィースリー)」を徹底解説します。EVI 3はこれまでにない“感情を理解し、共感するAI音声”として、ユーザーの心の機微に寄り添い、数秒でオリジナルボイスの作成も可能にしました。


最近「社外に出せないデータで生成AIを使いたい」という相談をよく聞きます。ChatGPTの利用は社内で禁止されているそうです。セキュリティやコスト面が気になる企業には、社内のローカル環境で動かせる仕組みがあることはご存知ですか?

EVI 3が切り拓く“共感型”AI音声の世界

EVI 3(Empathic Voice Interface 3)は、ニューヨーク拠点のAIスタートアップHumeが発表した最新の会話型AI音声モデルです。

その最大の特徴は、「共感力」に徹底的にフォーカスしている点にあります。これまでのAI音声――例えばApple SiriやAmazon Alexa、あるいは従来のチャットボットなど――は、テキストを読み上げたり、定型の返答を返すことはできても、会話の流れやユーザーの感情を“感じ取り”、応答のトーンや言葉選びを調整することは苦手でした。

EVI 3はこの壁を乗り越えるべく、AIが人間の話し方や感情の起伏、声の高低、間合い、ちょっとしたため息や抑揚までもキャッチし、より自然で表情豊かな会話を実現します。

まるで相手が本当に自分の気持ちを理解してくれているかのような体験が可能となり、単なる「便利な道具」から、ユーザーに寄り添う「パートナー」へと進化しています。こうした共感型AIの登場は、これまでAI音声に冷たさや無機質さを感じていた多くの人々にとって、大きな希望となるでしょう。

数秒で“自分だけの声”を作れるカスタマイズ性

EVI 3のもうひとつの革新は、ユーザー自身が好みのAI音声を、驚くほど短時間で作成できる点です。従来のAI音声カスタマイズは、膨大な声データの収録や、専門的な編集作業が必要でした。しかしEVI 3では、ユーザーがモデルに向かって声で特徴やトーン、性格、イメージを伝えるだけで、数秒後にはそのリクエストに沿ったオリジナルボイスが生成されます。

たとえば「温かみがあり、自信に満ちた、男性的な声」といった抽象的なリクエストにも、EVI 3は応じてくれます。さらに、「いたずら好きな語り手」「フランス訛りで早口のネズミがチーズ強奪を語る」といった細かなキャラクター設定も実現可能です。その柔軟性とスピードは、テストした記者からも「他のAI音声モデルやSiri、Alexaとは比べ物にならない」と高く評価されています。

この機能は、カスタマーサポートや健康指導アプリ、オーディオブック、ゲーム、バーチャルコンパニオンなど、幅広い領域で個性豊かなAI音声を即座に導入できるメリットをもたらします。特にブランドイメージや世界観にこだわる企業やクリエイターにとっては、競合他社との差別化の強力な武器となるでしょう。

現在の日本語対応状況(2025年6月現在)

  • EVI 2(Empathic Voice Interface 2): 現行のデモ版では日本語に対応しておらず、英語のみのサポートとなっています。 
  • EVI 3: 次世代モデルであるEVI 3では、日本語を含む多言語対応が計画されています。 現在は英語とスペイン語に対応しており、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語のサポートが近日中に追加される予定です。

ビジネスと開発者が体感するEVI 3の新たな価値

EVI 3は一般ユーザー向けのデモやiOSアプリだけでなく、今後は開発者向けAPIを通じて、外部サービスや企業システムへの統合も予定されています。これにより、企業は自社のカスタマーサポートやFAQボット、アプリ内ナビゲーション、エンタメコンテンツなどに、EVI 3の“共感型AI音声”を簡単に組み込むことが可能になります。

EVI 3の強みは、単なる音声合成を超えた「感情の理解」と「応答の柔軟性」。たとえば、顧客が不安や怒りを抱えて問い合わせてきた際に、その感情を声のトーンや話し方から読み取り、適切に寄り添うことで、顧客満足度やリピート率の向上に直結します。

また、特定のシナリオやキャラクターに合わせて声や性格を自在に設定できるため、ゲームやオーディオブック制作時の“没入感”を格段に高めることもできます。

一方で、現時点でEVI 3は「音声クローン機能(他人の声をそっくり再現)」には未対応です。この機能は競合のElevenLabsなどが先行していますが、Humeは「倫理的な配慮と安全性確保」を最優先し、今後自社の別モデル(Octave)での導入を予定しています。つまり、EVI 3は今のところ“柔軟なカスタマイズ”に特化し、著作権やプライバシー侵害リスクの低減を意識した設計となっています。

HumeのEVI 3は、単なる“話すAI”から“感情を理解し、共感するAI”へ

AI音声技術の進歩は、私たちのコミュニケーションの在り方そのものを変えつつあります。HumeのEVI 3は、単なる“話すAI”から“感情を理解し、共感するAI”への転換点となる存在です。今後、ビジネスでも日常生活でも、より自然で心地よい対話体験を求める中で、EVI 3のような共感型AI音声が果たす役割はますます大きくなるでしょう。AIが私たちの心に寄り添う時代は、すでに始まっています。

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監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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