画像生成AI FLUX.1とは?Stability AIを凌ぐ品質?

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わずか5枚の画像で独自のAIイメージメーカーを微調整できる?

「自分のブランド専用のAIモデルがたった5枚の画像で作れたら……」。

一見すると夢物語のようですが、これがすでに実現されつつあります。最近のジェネレーティブAIの進化はめざましく、驚くほど少ないデータで高度な“AI画像生成モデル”をカスタマイズできるようになってきました。「データは大量に用意しないとダメ」「微調整には特殊な知識が必要」と思っている方が多いかもしれませんが、その常識を覆すテクノロジーが登場しています。

本記事では、AI画像生成ベンチャーのBlack Forest Labs(以下、BFL)がリリースした新たなAPIツール「FLUX Pro Finetuning API」をご紹介。意外なほどシンプルな導入方法や、クリエイティブ業界へのインパクトについて掘り下げます。


BFLのAIモデル「FLUX」はStability AIを凌ぐ品質

(プロンプト:AIが搭載されたロボットのアニメ風のイラスト)

BFLは、もともとStability AI出身のメンバーが設立した企業で、オープンソースのAI画像生成分野で急速に知名度を高めています。以前は、イーロン・マスク氏が立ち上げたxAIの言語モデル「Grok」のデフォルト画像生成エンジンとして採用されていたこともあり、その品質は折り紙付きです。

同社が提供する主力モデル「FLUX Pro」や「FLUX Ultra」は、写真やイラスト、キャラクターアートといったさまざまな出力に対応可能。クリエイティブ業界から高い評価を得ています。今回リリースされた新APIツールにより、このモデルをユーザー自身がより自由にカスタマイズできるようになりました。


FLUX Pro Finetuning APIとは?

BFLが発表した「FLUX Pro Finetuning API」は、5~20枚の画像(必要に応じてテキスト説明付き)を使って、既存のAIモデルを微調整(ファインチューニング)できるツールです。これにより、ブランドやキャラクターなど、特定のビジュアル要素を強く反映したオリジナルAIモデルを簡単に作成できます。

カスタマイズ可能な4つのモード

  • Character:キャラクターの特徴を反映
  • Product:商品画像やブランディングに最適
  • Style:独自の画風やアートスタイルを落とし込む
  • General:あらゆる用途に対応

いずれのモードでも、基盤モデル(FLUX Pro / FLUX Ultra)が持つ高い生成力や汎用性は維持され、ユーザーのクリエイティブビジョンに合わせたAIモデルが出来上がります。


生成の幅を広げるエンドポイントとの連携

微調整後のモデルは、BFLの提供する各種エンドポイントとシームレスに統合できる点も魅力です。

  • FLUX.1 Fill(Inpainting機能):画像の一部を塗り替える・編集する
  • FLUX.1 Depth:奥行き情報を活かした高度な構図のコントロール
  • Canny / Redux:エッジ検出や画質補正など、画像処理を強化するツール

さらに4メガピクセルまでの高解像度出力に対応しているため、詳細が重要なアート制作や、精細なマーケティング素材が必要なシーンにも十分応えられます。


具体的な活用例 – ブランド・マーケターにおける事例

(Flux.1で作成した画像)

FLUX Pro Finetuning APIを利用すれば、ブランドのアイコンやキャラクターを含むデザイン要素を正確に再現した上で、さらにアレンジを加えた新しいビジュアルを生成できます。

  • ビジュアルブランディング:商品やサービスのコンセプトに合わせた画像の大量生成
  • キャラクターアート:ゲームや漫画のキャラを一貫したタッチで量産
  • 広告デザイン:細部の変更や差し替えが頻繁に起こる広告素材をスピーディに作成

同社の調査によると、ユーザーの68.9%が競合他社のサービスよりもこのFLUX Proの微調整結果を好むと回答しており、実際のクリエイターやマーケターからの評価も高いようです。


BurdaVerlagとのパートナーシップ

ドイツの大手メディア・エンターテインメント企業BurdaVerlagとBFLのパートナーシップも大きな注目を集めています。子ども向けの出版物「Lissy PONY」など、同社が展開する複数ブランドに合わせたカスタマイズモデルを開発し、オリジナルのクリエイティブを素早く大量に生成する取り組みを進めています。

ここでもFLUX Pro Finetuning APIの強みである“短時間での細かいデザイン要件反映”が活かされており、制作ワークフローの効率化に大きく貢献しているとのことです。


気になる利用料金と導入のハードル

(Flux.1で作成した画像)

BFLのAPI経由で利用できる各FLUXモデルには、以下の通り料金プランが用意されています。

  • FLUX 1.1 [pro] Ultra:$0.06 / 画像
  • FLUX 1.1 [pro]:$0.04 / 画像
  • FLUX.1 [pro]:$0.05 / 画像
  • FLUX.1 [dev]:$0.025 / 画像

微調整においても、5枚から最大20枚の画像を用意すればよいだけなので、素材準備の負担は最小限。画像ファイル形式はJPEG、PNG、WebPなどに対応し、解像度は1メガピクセル以下が推奨されています。トリガーワードや学習率、反復回数など、より細かい設定も可能であるため、思い通りの出力を得られるように細部まで調整できる点が魅力です。


導入は意外なほど簡単

BFLは「Finetuning Beta Guide」やPythonスクリプトなど、わかりやすいドキュメントを豊富に用意しています。APIの呼び出しから結果確認までをスムーズに行えるサンプルコードや手順書が整備されているため、技術的な専門知識がないユーザーでも素早く導入できます。

  1. 画像をアップロード:5~20枚のトレーニング画像を用意
  2. トレーニング設定を入力:トリガーワードや学習率などを決める(オプション)
  3. 学習を実行:APIから進捗をモニタリング
  4. 出力結果をテスト:生成物を確認・微調整

わずかこれだけのステップで、高度にカスタマイズされた生成モデルが手に入るのです。


AI画像生成の新たな可能性を切り開く

BFLが提供する「FLUX Pro Finetuning API」は、簡易性カスタマイズ性を両立させたジェネレーティブAIの新しいアプローチとして注目を集めています。ほんの数枚の画像でも、細やかなブランド要素を落とし込んだり、キャラクターの特徴を再現・拡張したりできるため、クリエイティブの発想を一気に広げる可能性を秘めています。

すでにマーケターやデザイナー向けの実用例が続々と生まれている今、AI画像生成の“敷居”は確実に下がっているといえるでしょう。今後もBFLからは新機能やアップデートが期待されており、ブランドやメディア、エンタメ界隈からの注目はますます高まっていきそうです。

参考)Black Forest Labs – Frontier AI Lab

監修者:服部 一馬

フィクスドスター㈱ 代表取締役 / ITコンサルタント / AIビジネス活用アドバイザー

非エンジニアながら、最新のAI技術トレンドに精通し、企業のDX推進やIT活用戦略の策定をサポート。特に経営層や非技術職に向けた「AIのビジネス活用」に関する解説力には定評がある。
「AIはエンジニアだけのものではない。ビジネスにどう活かすかがカギだ」という理念のもと、企業のデジタル変革と競争力強化を支援するプロフェッショナルとして活動中。ビジネスとテクノロジーをつなぐ存在として、最新AI動向の普及と活用支援に力を入れている。

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