ChatGPT o3とは?どんなモデル?
ChatGPT o3とは、OpenAIが2024年12月21日に発表した最新のAIモデルで、数学、プログラミング、科学など高度な推論を必要とする分野で、従来のモデル(o1系)を大幅に上回る性能を持っています。
OpenAIが主催する12日間のイベントの最終日、大きな発表がありました。初日に発表された「o1」モデルは、AIが複雑な推論タスクを処理できる新たな時代の幕開けを示しました。そして最終日、OpenAIはその次なるステップ、「o3」と「o3 Mini」の発表でその期待をさらに高めました。
これらの新モデルは、AI推論能力の次なるフロンティアを示しており、特に複雑な技術的課題や推論能力を必要とするタスクで飛躍的なパフォーマンス向上を実現しています。
「o3」の性能:フロンティアを切り開く能力
「o3」モデルは、多くの技術的ベンチマークで圧倒的な成果を上げています。
- コーディング能力
- 「o3」は、ソフトウェア開発のベンチマーク「SweetBench Verified」で71.7%の正確性を達成し、前モデル「o1」の約50%を大きく上回りました。
- コーディング競技サイト「Codeforces」では、ELOスコアが2727に到達。これは多くのトッププログラマーを凌駕する数字です。
- 数学的能力
- 数学オリンピックレベルの試験「Amy」では96.7%の正確性を記録し、PhDレベルの科学問題に対しても87.7%の正答率を達成しました。
- 新しいベンチマークへの挑戦
- 特に注目すべきは「Epic AI’s Frontier Math Benchmark」で、業界の他のモデルが2%以下の正答率にとどまる中、「o3」は25%以上の成果を記録しました。
ChatGPT o3 Mini:性能とコストのバランスを追求
ChatGPT o3 Miniは、「o3」シリーズのコスト効率版として登場。特に中小規模の開発者やコスト感度が高いプロジェクトに最適な選択肢です。
- コーディング能力では、「o1 Mini」を凌駕する性能を持ちながら、1桁以上のコスト削減を実現。
- 新機能として、推論時間を調整可能(低・中・高)とすることで、タスクの複雑性に応じた柔軟な対応が可能に。
- APIの新機能として、構造化出力や関数呼び出し機能が追加され、開発者体験が向上。
安全性への取り組み:外部テストと新手法の導入
AIが進化する中で、安全性の確保はますます重要です。OpenAIは、「o3」と「o3 Mini」における安全性検証プロセスをさらに強化。特に「外部安全性テスト」の導入により、多くの研究者がモデルの評価に参加できるようになりました。
「Deliberative Alignment」とは
さらに、「Deliberative Alignment」と呼ばれる新手法を導入。この手法により、モデルがプロンプトの意図を推論し、安全性を高めることが可能となりました。
Deliberative Alignmentでは、モデルの推論能力を活用し、単なる例ベースの判断ではなく、プロンプトの背後にある意図を理解しようとする点が特徴です。これにより、モデルは以下のようなプロセスを経て安全性を評価します:
暗号化プロンプトへの対応
暗号化されたプロンプトや巧妙なトリックを含むリクエストにも対応し、その背後に隠された意図を暴露する能力を持ちます。
安全性スペックの利用
モデルに安全性に関する詳細な仕様(スペック)を与え、それを基にプロンプトを評価します。このスペックには、許容される内容とされない内容の基準が含まれます。
推論によるプロンプト分析
モデルはプロンプトを解析し、その背後にある意図を推測します。例えば、プロンプトが直接的ではない形で危険なリクエストを含む場合でも、その意図を見抜くことが可能です。
自己理由付けの活用
モデルは、プロンプトが安全かどうかを判断する過程で、自ら理由を述べます。これにより、なぜそのプロンプトが安全または危険と判断されたのかが明確になります。
ChatGPT o3はいつから使える?
2024年12月22日時点では、o3はまだ一般公開されておらず、利用できません。ChatGPT o3 Miniの公開は2025年1月末を予定しており、フルモデルの「o3」もその直後にリリースされる予定です。これらのモデルがもたらす可能性は計り知れず、特に推論能力を活用する新たな応用分野が期待されています。
この進化を追いかけつつ、AIの能力と安全性がどのように融合していくのか、未来に目が離せません。